27話 クッコロさんの覚醒
「あ、あの、ごっちゃん、僕はどうすれば」
「ワシに振られても……」
「さあ、早く、悪戯してください。私の秘めた力を覚醒させ、さらなる高みへと誘ってください。ともに絶頂へと至りましょう。貴方に身体を触れられるだけで能力に目覚めるとは……楽しみです」
げえっ。自称少女の脳筋女騎士がどや顔で、胸を突きだしている。薄手のドレスだから乳首が透けて見えそうでエロい。あと、言葉のチョイスが微妙にエロい。
クッコロさんが足先だけを駆使して滑らかに迫ってくる。あっという間にごっちゃんの前から、俺のいる部屋の隅までやってきた。
ひえええ。胸が当たりそう。
胸はクッコロさんの世界では、最大限の侮辱を意味する。
「ごっちゃん、僕は何処を触ろうとすれば良いんですか……」
「う、うむ。ちょっと、待つのじゃ。胸以外に触れることの意味はな……」
ごっちゃんはマイ・パッドを取りだして、読み上げる。
「『顔』お前の顔がめちゃくちゃになるまで殴ってやる。『首』頸動脈を切り裂いて貴様の生き血をすすってやる。『尻』貴様の尻穴が裂けるまでピーしてやる。『股間』俺の子供を孕むまでピーしてやる」
「全身、爆弾じゃねえか! ちょっとクッコロさんの世界、殺伐としすぎ!」
「お。おおっ。触れても安全そうなのが、あったのじゃ」
「何処ですか! もう何処でも良いから、そこ教えて!」
「かかと。かかとじゃ!」
「よし」
かかとなら大丈夫だ。触れることに恥じらいはないし、どういう意味かは知らないが、性的な不快感を相手に与えることはないだろうし。
「ええと、じゃな。『踵』私は貴方の下僕です。一生を捧げます。是非、私を豚と呼んで踏んでください」
「ダメじゃん!」
俺はクッコロさんの踵に触れかけていた手を慌ててどかす。
そのとき、偶然にもふわふわスカートに引っかかってしまい、盛大にめくり上げてしまった。
長く引き締まった脚。綺麗な太ももの先に魅惑の香り漂う白い下着……は無かった。
というか、なんだこれ。
きわどいところが、きわどい形がくっきりとわかるくらい、きわどい感じに、白いテープのようなきわどいものが、ぴったりと貼ってある。エッチな漫画の際どい『消し処理』よりもきわどい。
ヤバい!
諸事情により俺は体の一部が元気になり、立ち上がれないというか、身体を動かすことが不可能になってしまった!
周りに洗い立てのタオルみたいなフワフワした匂いが漂ってきて、脳内で幸福感を生む物質が大量発生しているのが分かるくらい、鼻や頬がニヤニヤ緩んでくる。
ああ、幸せだな。クッコロさんのスカートがめくれるとこんなにいい匂いなんだ。
何気に見上げたクッコロさんの顔は、羞恥か憤怒か、まあ烈火と呼びたい色で煮えたぎっていた。
「あー。下着を見られることにたいする羞恥心は、共通じゃった……。流星、今までありがとう」
「な、なんでお別れ――」
「貴様ーッ」
ズギャーンッ!
イヤボーンではなく、キサマズギャーンだった。
鼓膜が破れるんじゃないかというほど凄い音が鳴った!
暴風はあるけど、痛みはない!
目の前を覆っていた腕を恐る恐るどかすと、クッコロさんの両手……ではなく縛りつけているロープが輝いている。
ごっちゃんが封印したというスキルが、クッコロさんの能力を抑え込んでいるんだ!
しかし、ロープはチリチリとほつれていき、次第に細くなっていき、徐々に熱風が吹きだし始めた。
あ、死ぬな、これ……。
ごっちゃんは両手を構えて、多分、結界作成能力か何かでクッコロさんを抑えようとしているみたいだけど、限界のようだ。
クッコロさんの両手を縛っていたロープが切れ、俺は全身に針が刺さったかのような圧力を覚え、死を覚悟した瞬間、スキルがパワーアップした。
半透明な死すステムメッセ―ジが見える。
――スキル『運任せの乱発能力』で獲得できるスキルのレア排出率が微増。
駄目じゃん!
激レア排出確定とか、防御スキル限定ガチャとかに進化してくれないと助からないじゃん! どうすんのこれ!
こうして、クッコロさんの新スキル『異次元圧縮熱波』『効果:異世界を一つ圧縮することにより発生した熱で、別世界を攻撃する』とかいう、恐ろしい攻撃によって俺は死……んでない。
あれ?
というか、なんで、クッコロさんのスキルの内容を俺は理解できたんだ。
「ふう、すっきりした」
ひたいの汗をぬぐって、クッコロさんはめっちゃ爽快な笑顔だ。傷1つついていない白いドレスをふわふわさせている。
「どうやら私は、何か身体の奥底から熱いものが込み上げてきて、新たな能力『異次元圧縮熱波』を得たようだ」
クッコロさんは何やらご満悦。
って、ちょっと待って、『スキル共有』スキルをいつのまにか発動していて、俺も『異次元圧縮熱波』を使用可能になったっぽい?
ふうむ。まだ軽く混乱していてよくわからないが、とにかくすごいことが起きたようだ。
「あ、あの……」
ごっちゃんに相談しようかと思ったけど、ごっちゃんも俺と同じように疲弊しきっていた。 肩で息をしながら「疲れたのじゃ……」とふらふらしている。
ああ、疲れた。
俺も、もう、寮に帰って風呂はいって寝たい……。
ってか、まだ連続授業の2時間目だ。
と、うんざりしたところで、いつのまにか帰る場所として寮を自然と思い浮かべるのがあたりまえになっていることに、我知らず苦笑してしまった。
ああ、限界。意識を失う……。
「ダメなのじゃ、まだ授業が残っているのじゃ!」
寝かせて……。少し楽になりたい……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます