第13話 録音日時2023年5月15日 録音データ
【私】
はぁ……やられた。
現在の時間は16時12分だが、
私が今いるのは工場内のどこか不明。
ここ数日は、現場責任者の言動に気を付けていたが
今日は別の担当者に荷物をもって、8番倉庫にもっていってほしいと言われた。
私たちが作業をする倉庫から、人が一人すれ違うほどことができる幅の廊下を通った。
そうすると、今度は車が通れるほどの幅のある長い通路にぶつかった。
その大きな通路の壁には番号が書かれており
私は、8番を探す。
8番倉庫を探そうと壁に提示されている番号を見ると
そこには『5050番』と書かれていた。
そこで気がついた。
ハメられたと。
振り返って元の廊下に戻ろうとしたが、
倉庫に戻る道の扉が閉まっている。
案の定開くことはなく、完全に遮断された状態だ。
まあ、いつか調べなくてはいけないと思っていたので
別に~悔しくないし~
この通路自体、工場の中にありそうなランプがあり
通路は車がすれ違えるくらいの幅がある。
壁には先ほども言った通り、人の大きさくらいある番号が書かれており
その番号が5050番となっている。
とりあえず、私は8番を目指して歩くこととする。
さっきから後ろのほうで視線を感じる。
ずいぶん遠くでだ。
振り返ってみる。
人影が見える。
『・工場内で従業員以外の方と話をした場合の責任は負いかねます』だったか。
私は前を見て歩き出す。
工場内でありながら、この通路はあまりにも静かだ。
私の足音だけが響き渡る。
こういうとき、自分の考えを口に出すと平常心を保てる。
録音癖だ
将来はラジオDJでもやってみようか。
とはいえ、ダンボールを持ちながら話すのは疲れる。
現在、5011番
まだまだ先か・・・。
私が抱えているダンボール。
これもまた私を動揺させるためのもの。
『・商品を勝手に開封した場合の責任は負いかねます』
『・工場内を勝手に歩き回らないでください、迷路のように複雑のため迷子になります 迷子になった場合の責任は負いかねます。』
安心したまえ
私は商品をあけるつもりもないし
迷子でもない。
それにしても、これ何が入ってるんだろう?
複数の何かが入っているようで音が聞こえるが
あと、たまに音が聞こえる。
うわあ!!!
何か聞こえたぞ。
音のでる玩具か?
音拾えるか?
『……、……、……ね」
聞こえてるかな
わからん。
後で確認するとして、私には『●●』と聞こえた。
前に、誰かいるな。
明らかにヤバイ奴が……
【???】
すみません!すみません!!すみません!!!すみません!!!!
ここどこですか??
ずっと出口を探してるんですけど、どこにもないんです!!
スマホの充電切れちゃって、連絡取れないんです!!
ずっと出口、ずっと出口探してるんです!!
僕、家に帰らないといけないんですよ!
家に、家に、家に
帰りたい!!帰らせて!!帰る!!帰りたい!!
なんで無視するんですか??無視しないでくださいよ!!
無視しないでよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
話聞いてよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
【私】
ふぅー……囚われたやつの末路かな
あんなのがウヨウヨしてるんだったら最悪だ
えーっと番号が……5387番?!
どうなって?!いつの間に逆に行った?!
しかも物凄い増えてるし。
普通に前に進むだけじゃダメだってこと??
待て待て落ち着け。
ここで動揺をして『迷子』になったらダメだ。
『迷子』になったら後ろにいるやつに何をされるかわからない
(5387番倉庫のシャッターの奥から音が聞こえる)
(中から外へと向けて叩きつけるような音)
(老若男女様々な声が聞こえる)
【???】
にんぎょうはいりませんかにんぎょうはいりませんか
にんぎょうはいりませんかにんぎょうはいりませんか
にんぎょうはいりませんかにんぎょうはいりませんか
にんぎょうはいりませんかにんぎょうはいりませんか
にんぎょうはいりませんかにんぎょうはいりませんか
にんぎょうはいりませんかにんぎょうはいりませんか
にんぎょうはいりませんかにんぎょうはいりませんか
【私】
なるほど、これはSAN値削られるね。
足は止めない。
私は迷子ではないから、このまま進むさ。
(ダンボールの中で動く何か)
(ガサガサと音を立てる)
【私】
ひっ!?
(ダンボールの中から)
(ガサガサと音を立てながら)
【???】
かえしてくれかえしてくれかえしてくれ
かえしてくれかえしてくれかえしてくれ
かえしてくれかえしてくれかえしてくれ
かえしてくれかえしてくれかえしてくれ
かえしてくれかえしてくれかえしてくれ
かえしてくれかえしてくれかえしてくれ
【私】
この道を行けば どうなるものか 危ぶむなかれ。
危ぶめば道はなし 踏み出せば その一足が道となり その一足が道となる
迷わず行けよ 行けばわかるさ
おらぁあ!!人間様なめるなぁ!!!
(走り出す音)
おおおおりゃああああああああ!!!!
ふぅー!!!!!
ついた!!!!!
8番倉庫!!!!!
どうやら、この倉庫番号の羅列に規則性はないようだ。
規則性があると思って、みんな迷子になる。
4301番の後が8番になっている。
おら!!持ってきたぞクソったれ!!
(倉庫の扉を開ける)
【現場責任者】
あ~~ありがと。
そこ置いておいて~。
【私】
このクソボk
(そこで私の口が後ろにいたやつに塞がれる)
【???】
『・工場内で従業員以外の方と話をした場合の責任は負いかねます』
【私】
ん~~~!!ん~~~!
【???】
これは私の独り言だが
私はよく頭に血が上ると、いつもの冷静さを失うことがある。
泰然自若……常にクールビューティで行こう
【私】
わら??ひ??
【???】
荷物は置いて、このまま私は帰らせてもらう
【私】
(頷く音)
(扉が開く音)
(扉が閉まる音)
【私】
いつもの、倉庫現場?
長い廊下も、
意味不明な奴も、いない……。
【現場監督】
おい!どこほっつき歩いてたんだ?
もうとっくに終業時間だぞ
【私】
22時??
体感、1-2時間くらいだったけど……。
これ、ヤバすぎでしょ
【録音停止】
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