第4話 ドイツへ

 グラコロとピクルスは、ユウタの情報を元に、プロジェクト・ナイトの背後にある組織の真相を追い続けていた。しかし、調査を進めるうちに新たな事実が浮かび上がる。それは、全ての謎が「ドイツ」と深く結びついているということだった。


 ある夜、代々木署の一室で、グラコロはピクルスと共に次の一手を考えていた。ユウタが残したメモの中に、いくつかの暗号のような文字列が書かれていた。その一つに、「ドイツ」と書かれた場所名が記されていた。


「ドイツ…?」グラコロはその言葉を繰り返し、メモをじっと見つめた。「ここには何か意味があるはずだ」

「ユウタが言ってたこと、全てが繋がるんじゃないか?」ピクルスは冷静に言った。「ドイツといえば、あのプロジェクト・ナイトの本部がある場所だ。そこの研究施設で、アンドロイド技術が進められていたらしい」

 その言葉にグラコロはハッとした。確かに、プロジェクト・ナイトは国際的なプロジェクトであり、ドイツの一部の研究施設がその中心的な役割を果たしていたという情報があった。しかし、それが日本国内の警察内部にまで浸透しているとは考えもしなかった。

「ドイツのどこだ?」

 グラコロは急いで調べ始めた。

 ピクルスが資料を広げ、スクリーンに映し出された地図を指さす。「ここだ。フランクフルトの近郊に、かつて『ナイトラボ』と呼ばれた施設があった。その施設が、プロジェクト・ナイトの核心に関わる場所だ。」

「ナイトラボ…」グラコロはその名前を呟き、少し考え込む。「じゃあ、そこに行けば、プロジェクトの詳細がわかるってことか?」

「可能性は高い」ピクルスは言った。「だが、その施設は10年前に閉鎖されたはずだ。ただ、閉鎖されたと言っても、実際には別の形で機能している可能性がある」

「それなら、行くしかない」グラコロは決意を固めた。「ドイツに行って、何が起きているのか確かめる」


 その後、グラコロはピクルスと共にドイツへ向けて飛行機に乗り込んだ。彼らが向かう先は、フランクフルト郊外にある廃墟となった研究施設「ナイトラボ」。だが、そこには彼らが予想もしなかった敵と新たな驚きが待ち構えていた。


 ドイツに到着したグラコロとピクルスは、フランクフルトの郊外にある「ナイトラボ」の跡地へ向かう。施設は廃墟となり、ほとんどが放置されていた。だが、警戒心を抱きつつも、二人は施設内部に足を踏み入れる。


 中は意外にも整然としており、あたかも誰かが最近使ったかのような痕跡が残っていた。古びた機械やコンピュータが並び、まるで時が止まったかのような空間が広がっている。


「この施設が本当に閉鎖されたのか?」

 ピクルスは疑念を抱きつつ、慎重に周囲を調べた。

「おそらく、表向きは閉鎖されていたが、実際には別の形で稼働していたんだろう」グラコロは静かに言った。「お前の言う通り、何かがおかしい」

 二人は施設内を捜索していくうちに、隠された扉を発見する。その扉の奥には、最新の技術を使ったコンピュータシステムと、無人の実験室が広がっていた。そして、そこには驚くべき光景が広がっていた。

「こ…これは…?」グラコロは息を呑んだ。


 実験室には、無数のアンドロイドが冷凍保存されているように並べられていた。それぞれが、異なる外見を持ちながらも、明らかに人間に近い容姿をしている。まるで、未来の兵士たちが眠っているかのようだった。


「これが…プロジェクト・ナイトの最終目的か?」 ピクルスは呆然とし、目の前の光景に言葉を失った。

「これが、兄貴が暴こうとしていたものか…」

 グラコロは苦しげに言った。

 その時、突然、背後から不気味な声が響いた。「ようこそ、グラコロ刑事。ずっと待っていたよ」

 振り返ると、そこに立っていたのは、ユウタだった。しかし、今の彼はもう、以前の冷静さを保っていなかった。彼の目は、まるで完全に機械的な存在となっていた。

「ユウタ…お前、どうしてこんなことをしている?」

 グラコロは問いかけた。

 ユウタは無表情のまま言った。「私は、もう人間ではない。プロジェクト・ナイトの完成形だ。今や、私はこの施設を支配する者だ」

 その言葉と共に、施設内のアンドロイドたちが動き出した。まるで目覚めたかのように、彼らは一斉にグラコロたちに向かって歩き出す。


 グラコロとピクルスは、アンドロイドたちに囲まれる中で、どんな手を使ってでも脱出しなければならなかった。しかし、ユウタの支配する施設は、もはや彼らにとって敵地そのものだった。

「ここで終わらせるわけにはいかない」グラコロは拳を握りしめた。「兄貴の死を無駄にしない」

 ユウタの冷徹な笑みが、グラコロの前に広がっていた。アンドロイドの支配下に入ったこの施設で、グラコロとピクルスの戦いが始まる。

 ドイツの「ナイトラボ」が抱える真実、そしてその先に待つ壮大な陰謀。そのすべてを暴くために、グラコロは再び立ち上がった。


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 次回、グラコロとピクルスが迎える最後の戦い。


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