バレンタイン特別編 (3)

昼休み。

長い長い授業が終わったあとの至福の時間。

パンを急いで口の中に放り込み、屋上へ向かい、昼寝する。


もう少しで意識が飛びそうになった時に、誰かの声がした―――。


「ねぇ。二本樹ゆうなさん?」

「んぅ?…誰ですか?」

「同じクラスの鄒輝褜示威屠凛軀よ」

「スーパーエナジードリンク?」

「すうぱあえなじいどりんくよ。なんで親はこんな名前にしたのかしら。」

「なんか、大変そうですね。」

「ええ。大変よ。この名前のせいで私は…!」


彼女はそう、忌々しそうに吐き捨てた。


「そういえば、あなたチョコもらってたわよね?」

「え?何故それを?」

「朝の抜き打ち検査での先生とのやり取りよ。目線だけで通じ合っていたけれど、私だってそれぐらいはわかるわ」

「…何が望みで?」

「あら、よくわかってるじゃない。「私が困ったときに助けてあげる」これで充分よ。」

「たったそれだけ…?いや、裏がありそうだな。」

「よく気づいたわね。何でも従うことになるわ。今のままだと。だから、ちょっとハードルを下げてあげるわよ。「あなたのできる範囲内で」でいいわ。」

「ほんと?ありがとう!」

「ふふふ、どういたしまして。」


キーンコーンカーンコーン


「あ、昼休み終わっちゃった。」

「次移動教室よ。」

「え!?急がないと!」


えーと移動教室だから…一階の教室は端っこ!?

やばいやばいやばい!


急いで階段を降りて教室へ向かう。するとそこには、僕の机に向かってなにかしている男子たちがいた。


「ゆうなちゃん…ハァハァ…」

「………………ふぅ」

「ゆうなからチョコ渡されないかな…うっ出る」


顔が熱く、赤くなったのを感じる。

………………………見なかったことにしよう。机に白い液体がかかっているのは見ていなかった。そうだといってくれ!


「でもどうしよう…このままじゃ教科書持っていけないから授業に遅れちゃうよ…。」


これはピンチ。すると、先生が教室に入る。


「次は移動教室だぞ―…お前ら生徒指導室に来い。その歪んだ性癖をどうにかしてやる。」

「先生これは違うんです!」

「違うも何もお前ら…否定はしないが相手は男だぞ?あの見た目とはいえ。」

「そうですが、ほぼ女じゃないですか!」

「問答無用だ。さっさと来い!」


良かった…あ、先生がこっち見ていい笑顔でサムズアップしてきた。

ありがとうございます!


「教科書、筆箱持ったからあとは大丈夫かな?急がないと!」


廊下を全速力で走り抜ける。階段は飛び降りてショートカットする。

着地と同時に走り出す。


「着いた!危なかった〜!」


かかった時間は約3秒。人間じゃないね。

急いで戸を開けてなかにはいる。

席についた瞬間チャイムが鳴った。

「授業を始めるぞ。全員起立。礼!」


そうして午後の授業が始まった―――。



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フォロワー数200人突破です!ありがとうございます!

それと、10000PV突破しました!


因みにゆうなはあの姉のせいで(お陰で?)縮地的なものを使うことができます。

一瞬で50mほど移動が可能です!

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