第2話
喰うにやもなくで狩猟するのでさえよくないことだというのに、桑子はただ生き物を殺すのが楽しくてやっているのだそうだ。
女の身で、猿はともかく熊までも殺している。
男でも簡単ではないと言うのに。
行政が介入してきてもおかしくないのだが、このことは村の人間しか知らないし、みんな大迫桑子とはなるべくなら関わらないようにしていたので、行政に報告する人もいなかった。
十数軒しかないこの村で、一人やりたい放題なのだ。
それにしても、なぜいないのか。
どこに行ったのか。
じいちゃんに聞いてみた。
じいちゃんが言った。
「山の神様を怒らせたからな。罰が当たったんじゃよ」
――山の神様?
僕が怪訝そうな顔をしているとじいちゃんが笑いながら言った。
「そう、山の神様じゃな。あんな奴は、罰が当たって当然じゃわ。もう村にはいないんじゃ。」
「どこ行ったの?」
じいちゃんは、山を指さした。
とにかく嬉しそうにしながら。
翌年もじいちゃんの家に行った。
桑子の家はさらにさびれていた。
じいちゃんは大迫桑子がいないのは当たり前のようになっているようで、口にすらしなかった。
じいちゃんの家に来た翌日、僕は早速虫取りに出かけた。
もちろん山の中へだ。
その日、収穫はいつもよりも少なかった。
僕はついつい山の奥へと入って行った。
――それにしても取れないなあ。
そう考えつつ山中を歩いていると、前方の木陰でなにかが動いた。
――!
山の奥は、熊も猿もいると聞いていた。
出くわせばろくなことがないことは、十歳の僕でもわかる。
身構えた。
すると、その何かが目の前に現れた。
クソさこ ツヨシ @kunkunkonkon
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