15話:ララフェイド戦、開始ッッ!!!
私はバッと身構えて、ララフェイドの動向を伺う。
さあ、どこからどう仕掛ける?
脚立がど真ん中に陣取っている以上、お互いに相手へ触れるにはほんのすこし時間がかかる。
ならば相手の動きの出がかりから行動を予測して対応するのが
そう思っていた。
しかし!!
ララフェイドは真正面から向かってくる!
そして、立てられた
なぜ私は考えなかったんだろう?
リング内に凶器を持ち込むのは禁止されているけど、特殊ルール上で必要があって設置された物を利用することは許可されている。
そして、使える手段は何でも使うララフェイドが脚立を武器にしない理由は……ない!
ガッシャァ!
ララフェイドが、掴んだ脚立をそのまま押し付けるかのようにぶつけてくる!
不意の突進にバランスを崩される私だけど、なんとか倒れずに踏みとどまった。
よし、この身体にも充分に慣れてきている!
と、安堵した次の瞬間!
ララフェイドは脚立を閉じ、私の首に引っ掛けた!
そしてそのまま脚立を振り回され、私もその動きに引っ張られて振り回される。
『これではまるで、リードで繋がれた犬のようだ!マト、完全に翻弄されているー!』
ぐ、この……!
私が脚立を外すために持ち上げると、ララフェイドは脚立から手を離して弧を描くように走り、待っていたと言わんばかりの表情をしながら跳んだ!
そして高速で横回転し、その勢いを使って私の後頭部まで届くハイキックを放つ!
『ララフェイドの得意技!『ダブルアクセル
ぐっ、は……!
勢いが充分に乗った蹴りの、強烈な衝撃が走り、私は膝をついた。
飛び蹴りの直後で倒れているララフェイド。
その足を掴もうと手を伸ばすも、ララフェイドはすぐに跳ね起きて態勢を整える。
……なるほど、ルール破りだけが得意技じゃない。
その身軽さを生かした打撃戦も武器ってわけか。
ならば!
私は脚立をララフェイドの手の届かぬ位置に投げ、両手を床につけて尻を上げて構える。
クラウチングスタートに近い体勢。
『マト、やはり
そして走る!
『やはりマト、向かっていった!しかし読まれている!ララフェイドの膝が顔面を狙っているぞォーッ!』
私は吠えた。
「はっけよい!」
顔を上げずにそのまま超低姿勢での『ぶちかまし』。
いわゆる体当たりだけど、相撲ではそう呼ぶ。
ララフェイドは私が顔を少し上げて向かってくると予測して膝を振ったので大きく空振りする。
回避した私はそのままララフェイドの、構えてない方の……つまり『軸足』の膝に向かって『ぶちかまし』を仕掛けた!
ララフェイドは前に向かってスッ転び、私の背に倒れかかる。
私はすかさずララフェイドの股間と首の近くを両腕で持ちあげた!
そして!そのまま!乱暴に!
落ちてる脚立に向かって、ララフェイドを投げ捨てる!
『マト、
さらに!
『マト、
「ぐっ……!」
ララフェイドは勢いをつけて立ち上がり、そのまま両手を使った縦チョップ……『モンゴリアン・チョップ』を繰り出す。
首筋への的確な攻撃!!
だけど!
「効かないねぇーっ!」
今の私は心に相撲とプロレスを飼う令嬢!
ただ前へ、前へ!
痛みを無視してララフェイドの両腕を上向きにしてから腋に挟んだ!
そして、本来曲がらない方向へ!肘間接を!押し上げる!
これも相撲技『閂(かんぬき)』だ!
さらにさらに!この状態から!
真後ろへ反り投げる!
『閂スープレックス』だーーっ!!
『なんとなんと!見たことのない関節技から、スープレックスへと移行!しかしダメージの強烈さは痛いほどに伝わってきます!』
さすがにこの世界に相撲は存在しないみたいだ。
このまま
と、意気込んだところで気がついた。
この試合はラダー・マッチ。
空中のティアラを掴むことによってのみ勝利が決まる。
私は急いで脚立を組み立て、それに登り、ティアラに手を伸ばす。
しかし、ララフェイドもすぐさま脚立の反対側に登った。
ララフェイドが私の腕を掴んで降ろすが、私もララフェイドの腕をがっちりと掴む。
互いが互いの腕を掴み合い、
ララフェイドが突然ニヤリと笑い、脚立から飛び降りた!
私は突然の行動に対応できず、姿勢を崩している!掴んでいた腕もつい離してしまった!
まずい!
ララフェイドは両脚できれいに衝撃を吸収しつつ着地、私は倒れながら着地する!
ララフェイドの軽快な動きは、たしかなバランス感覚や着地技術を持っているからこそだと理解した。
「ぐっ……!」
倒れた私はすぐに起き上がろうとする、が。
「ハッハァーッ!!」
起き上がろうとした顔にララフェイドの膝が飛んできた!
私は
しかし、ララフェイドは跳び膝蹴りを放った勢いを消すことなく走り、ロープに背中を預ける。
そしてロープからの反動でまた走り出す!
ロープの反動による移動──『ロープワーク』、プロレスの基本動作の内の一つだ。
飛んでくる脚!肘!身体!
回避と防御に専念すれば、起きる余裕もないほどの速さ!
攻撃のたびに倒し、起き上がることを許さない起き攻め殺法!
こっちの体力をしっかり削ってから
「トドメだァ~!」
私の動きが
『おお!ララフェイド!
「マト様ー!!」
ユニエの声に、ダメージのせいでぼやけていた意識がハッと目覚める。
この状態、反撃の手、そう……!これだ!
私はララフェイドの肩と股に手を添え、跳んできた勢いを利用して投げ飛ばす!!
『マト!起死回生の『ボディスラム』!攻防一体の見事なカウンターです!』
倒れ転げるララフェイド、立ち上げる私!
状況は反転した!
私は後方へ走り、ロープワークを行う!
『おおっと!マト、先程までのララフェイドとそっくりの動きをします!仕返しということでしょうか!?ああ、しかし!ララフェイドすでに立ち上がっています!構えている!どうなる!?』
低い姿勢で走る私。
ララフェイドは背を丸めて低くなり、顔から首にかけてを両腕で縦に守る。
がっちりとした防御の姿勢だ、跳び技でも『ぶちかまし』でも受けられるだろう、ね。
でも……空いてる部分はある!
私は低い姿勢をさらに低くし、肩を床につけて前転する。
ララフェイドは私の動きを見逃すまいと、視線と首を下に向けている。
それこそが命取りなんだよ!!!!
私は前転と同時に足を伸ばした。
すると、回転の勢いの乗った私の足の先端が、ララフェイドの脳天に向かう!
身体を大きく縦回転させながら、伸ばした脚の先端、すなわち
これが『
打った後の隙は大きいけど、成人男性が体重を乗せて打てばアゴを砕くと言われ、打つ前の姿勢の低さゆえに『正面からの不意打ち』としても機能する。
まさに『大・打撃技』!
ララフェイドは耐えきれずぶっ倒れた。
よしっ!
しかし私も、さっきの起き攻めラッシュでダメージが大きく、浴びせ蹴り後の倒れた状態からなかなか起き上がれない。
ここでゴングが鳴る。
「ティー・タイム!」
……休憩時間(インターバル)だ。
こちらに流れが向いていただけに残念だけど、だんだん闘い方が分かってきた。
ダメージだって、こっちも相当だけどララフェイドの方がデカいはず。
これならいける!
そう思っていた。
しかし、それは慢心だった。
舐めていた。
ララフェイドの執念を、必死さを。
それをこの後、
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