エスポルーナ戦記
現役高校生です。夢のために頑張ってます
第1話 エスポルーナのはじまり
★★エスポルーナ国暦510年10月16日★★
コン、コン、コンと耳障りのいい音が辺りに響く。ガチャと扉が開き『今日はなにするー?』と穏やかな顔が出迎える。
「よっ!今日も森に行こうぜ。ロイ」と手を振って早く行こうよ!そう急かすシーランに対して
『またーー?今日は違うとこ行かない?』とロイ。「他に行くとこある?」とシーランが返すと
『う〜ん....わかった。行こ』とお手上げの表情を見せて家から出てくる。
「よし。じゃあ......森まで競争な? よーい.......どん!」とシーランは勢いよく走り出す。『ちょ待っ』ロイに全部言わせないうちに。
『おい!シーラン、それずるだろ!』「ずるじゃねーよー」朝早くから村に二人の声が響く。
「はぁ、はぁ、はぁ、俺の勝ちな」『いーや!ずるだから無しだね』と息を落ち着かせながら言う。
「じゃあ、今日もモルを探しますか!」と言ってシーランたちは森に入っていく。
ここ、エスポルーナ王国ではモルという小動物が森に生息していると言われているのだが、なかなか出会うことは難しく、そのため外見や詳しいことはあまり分かっていない。ただ大きさ的にはタヌキほどの大きさと言われている。また出会った者には幸運が訪れるとも言われている。
そして、ここリエル村に住む二人は小さいときからそんな話を聞いていて、興味がかなりあった。そのためその“幸運をはこぶ生き物”をほぼ毎日のようにリエル村近くのこの森で探している。
ちなみに二人の住んでいるリエル村は王国の最西端に位置していて、近くにはこの森やリエル鉱山もある。そしてこのシーラン・リエルとロイ・リエルは後のエスポルーナの歴史に深く刻まれることになる。
チッ、チッ、チッと鳥のさえずりが四方八方から聞こえてくる。やわらかな風が優しく頬をなで、ふんわりと木々の爽やかな香りが漂う。「ロイ、見つかったか?」『そんな早く見つからないでしょ』と背を向けながらロイは応える。
その後もシーランたちは探し歩くが、結局、見つからなかった。
「ただいまー」扉を開けて入った瞬間にやってしまったと思った。なぜならそこには母のミラが自分が帰ってくるのを待っていたかのように立っていたからだ。
「何回言ったら分かるの?!」ミラは眉をつりあげて迫ってくる。「朝早くは子どもだけじゃ危ないって言ったでしょ?」「もう子どもじゃないよ!」とシーランは言い返す。
「まだ13歳でしょ?」とそれに素早く返すミラ。「まぁまぁ、その辺にしておこうよ、ママ」と奥からのんびりとした父エミールの声が聞こえた。「まぁ、元気なのは良いことだし」まぁ、いいんじゃない?という感じでミラに言う。
「この辺にして、朝ご飯食べよう!」とエミールは二人を促す。
「いただきます」3人で少しこぶりな円卓を囲む。シーランはこの時間がすごく好きだ。
「今日もモルを探してたのか?」エミールにそう聞かれ「うん。まぁ、今日も見つかんなかったけどね」とパンを口に頬張りながら答える。
「“学びの教室”が終わったら、今日は家の手伝いしなさいよ」とミラにするどい横やりを刺される。今日はサボれないなーとシーランは肩を落とす。
学びの教室とは、
リエル村の村長であるジェイク・リエル氏が週に一度、リエルの子どもたちにエスポルーナ王国のことを詳しく知ってもらう催してるリエル村独自のものである。シーランとロイもそこで知り合い仲良くなった。強制的な参加ではないが村の子ども全員が参加している。
シーランとロイも幼いときから参加し、今年で13歳になるが毎週参加している。
「おはよう!みんな」今日も丘の上で村長のジェイクが優しく微笑み、迎える。
「ジェイク先生、おはよう!」5、6歳の子どもがわんさかよってきて彼に抱きつく。
「ジェイクさん、おはようございます」シーランとロイもその後ろから声をかける。
「おおー。シーラン、ロイ。おはよう、今日も一緒に楽しんでって」
いつもと変わらない包み込むような声と表情、この誰でも気軽に声をかけやすい雰囲気をつくれる彼のそんなところにシーランはいつもすごいなぁと思わされている。
ジェイクが主催している学びの教室は彼の家の前で行われている。授業のように堅苦しい感じではなくて、読み聞かせのように自由な感じなのが、子ども達からも人気を寄せているのだろう。
それに、ジェイクの読み聞かせがけっこう面白くて、シーラン達も楽しかった記憶がある。
一番幼い者で4歳からシーラン達の13歳までがみんなでエスポルーナのことについて学ぶ機会だ。
『シーラン!ロイ!』声の方には黒曜石のように黒く光沢する髪に映える少女がこっちを向いて呼んでいる。
彼女の名前はソフィア・リエル。
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