第九章 願い事のシーン
クリスマスパーティーも終盤に差し掛かり、ギルドの中央に設置された大きなクリスマスツリーの前に、メンバーたちが自然と集まってきました。そのツリーはきらめくオーナメントや星形の飾りで美しく飾られており、てっぺんにはアクアが魔法で輝かせた特製の光の星が輝いていました。
「みんな、少し静かにしてくれ!」カズマが声を上げ、全員の注目を集めました。「今日は最高のクリスマスイブを過ごせたけど、最後に一つやりたいことがある。ツリーに願い事を捧げてみないか?」
この提案に、ギルドのメンバーたちは次々と賛同しました。特にアクアは「願い事なんて素敵じゃない! 女神である私がきっと力を貸してあげるわ!」と張り切った様子でした。
めぐみんが手を挙げて言いました。「それじゃあ、私から行くわ。私の願いは簡単よ。この世で最も強力な爆裂魔法を手に入れること!」彼女は真剣な表情でそう言いながら、ツリーに向かって頭を下げました。
次にダクネスが前に出て、「私の願いは、このギルドのみんなが無事で楽しい冒険を続けられること。そして、少しだけ、もっと挑戦的な戦いを味わえたら嬉しいわ。」と、彼女らしい願いを語りました。
アクアは自信満々に「私の願い? それはもちろん、私がもっと女神らしく見られることよ! そして、いっぱいお酒が飲めるようになるといいわね。」と冗談交じりに願いました。
カズマは最後に、「俺の願いは、まあ、みんながこうやって無事に楽しく過ごせることかな。そして、ちょっとくらい裕福になりたいけど、それは贅沢かな。」と笑いながら言いました。
メンバーそれぞれがツリーの前で願いを捧げ、静かなひとときが流れました。周囲の笑い声やざわめきが徐々に収まり、雪がしんしんと降る音だけが耳に残りました。この時間は、ギルドメンバーにとって今年一年の感謝と来年への希望を胸に刻む、特別な瞬間となりました。
クリスマスツリーの前で願い事を語り合った後、メンバーたちはそれぞれ少し真剣に、心の中で改めて自分の願いを思い描いていました。ツリーの下に置かれた特製の「願い事カード」に、一人ずつ自分の願いを書き込む時間が設けられました。
カズマの願い
カズマはカードにこう書きました。 「自分の人生が少しでも楽になるように。そして、もっと平和で、たくさんの楽しい日々が訪れますように。」 彼は苦笑いしながら、「まあ、あんまり贅沢は言わないけどね。」とつぶやき、カードをそっとツリーの根元に置きました。
アクアの願い
アクアのカードには大きな文字で、 「もっと崇拝される女神になりたい! そして、おいしいお酒が毎日飲めますように!」 と書かれていました。彼女は満足そうに「これで神様のご加護がもっと増えるわね!」と言いながら、キラキラ輝くカードを飾りました。
めぐみんの願い
めぐみんのカードには短く、 「爆裂魔法を極め、さらに強大な力を手に入れる!」 と書かれていました。彼女は自信満々に「これで私の爆裂魔法の旅がますます輝くわ!」と言って、ツリーにカードを添えました。
ダクネスの願い
ダクネスは慎重にカードを手に取り、 「みんなが無事でいられますように。そして、困難な冒険が訪れ、それを乗り越えられる力を得たい。」 と静かに書きました。彼女は深くうなずきながら、「これで今年も充実した年になるわね。」とカードを丁寧に置きました。
クリスの願い
クリスはカードに、 「もっと多くの人を幸せにできる盗賊になりたい。そして、冒険が楽しいものになりますように!」 と書きました。彼女は「ちょっと欲張りすぎかな?」と笑いながらカードを置きました。
ちょむすけの願い
ちょむすけはカードを書くことはできませんでしたが、めぐみんが代わりに「ちょむすけがたくさんの魚を食べられるように!」と書き、ツリーに飾りました。
それぞれの願いが書かれたカードがツリーの下に並び、ツリー全体が希望と夢で輝いて見えました。この時間は、彼らにとってクリスマスの真髄ともいえる、心温まるひとときとなりました。
願い事をツリーに捧げた後、静かな夜空の下でギルドのメンバーたちはツリーを囲んで談笑していました。雪がしんしんと降り積もり、クリスマスらしい穏やかな雰囲気が漂う中、突然ツリーのてっぺんに飾られたアクアの「光の星」が輝きを増し始めました。
「えっ、何これ?」カズマが驚いた声を上げ、全員がツリーに目を向けました。光の星は虹色の光を放ち、その輝きがツリー全体に広がっていきました。その光は温かく、見る者の心を癒すようなものでした。
アクアが興奮した様子で、「ああ、これはきっと私の祈りの力が届いたのよ! 女神としての本領発揮ね!」と胸を張りましたが、カズマは少し疑わしげに「お前のせいだけじゃないだろ。何かもっと大きな力が働いてる気がする。」とぼやきました。
その時、ツリーの根元に置かれた願い事カードが一斉に光り始めました。それぞれのカードから輝く小さな粒子が浮かび上がり、ツリーの光と共鳴するように天高く舞い上がっていきました。
「これは、みんなの願い事が何かに届いているの?」めぐみんが感動した声で言いました。
ウィズが静かに微笑みながら、「これはきっと、この場所に集まった皆さんの心がひとつになった結果ですね。クリスマスは特別な日ですから、こういう奇跡が起こっても不思議ではありません。」と説明しました。
その言葉に全員が納得し、ツリーを見上げながら一層の感動を覚えました。光の粒子は夜空に消えるように輝き続け、まるで彼らの願いが星々に届いたかのような光景でした。
「これは何かの前触れなのか、それともただの偶然なのか、でも、いい気分だな。」カズマが微笑みながらつぶやきました。アクアは「これは絶対に私のおかげ!」と言い張りましたが、他のメンバーはその主張に笑いながらも温かい目を向けました。
この神秘的な反応は、ギルドのメンバーたちにとって忘れられない思い出となり、クリスマスの夜にさらなる魔法のような瞬間を与えました。
ツリーが放った神秘的な光が収まり、ギルド内は再び静寂に包まれました。ツリーの下に置かれた願い事カードは、光に包まれてほのかに温かく輝いていました。メンバーたちはそれぞれの願いがどのように実現されるのか、期待と少しの不安を抱きながら様子を見守りました。
最初に変化が起きたのはめぐみんのカードでした。カードから赤い光がふわりと浮かび上がり、彼女の杖に吸い込まれていきました。「これって!」めぐみんは驚きながら杖を握りしめました。「私の杖が、何か強力な力を得たみたい! 爆裂魔法がさらに進化する兆しかもしれない!」
次に、ダクネスのカードから淡い金色の光が広がり、彼女の鎧に降り注ぎました。「これは防御力がさらに上がった証かもしれない! これでみんなをもっと守れる!」ダクネスは誇らしげに鎧を撫でました。
アクアのカードからは、水のように透き通った光が彼女の手元に集まり、特製のグラスを生み出しました。そのグラスは、どんな飲み物も美味しくするという特別な魔法がかかっているようでした。「これでいつでも最高のお酒が飲めるわ!」アクアは大喜びでそれを掲げました。
カズマのカードは少しの間動きを見せませんでしたが、突然、彼のポケットが重たくなる感触がありました。彼が取り出してみると、そこには一握りの金貨が。「これで少しは生活が楽になるかもな!」カズマは笑みを浮かべましたが、「もっと増えるといいんだけどな」とぼやくのも忘れませんでした。
クリスのカードは、盗賊スキルを象徴するかのように、小さな銀の鍵に変化しました。「これは、どんな宝箱でも開けられる鍵かも! これで貧しい人たちをもっと助けられる!」彼女はその鍵を握りしめて微笑みました。
最後に、ちょむすけの願いも叶えられたようでした。めぐみんが気づくと、彼の前に特大の魚の山が現れていました。ちょむすけは嬉しそうにその魚をついばみながら、メンバーたちの願いが叶ったことを喜んでいるかのようでした。
それぞれの願いが、ささやかではあるものの確かな形で現れたこの瞬間は、ギルド全体を温かい感動で包みました。「やっぱりクリスマスって特別だな。」カズマがつぶやくと、全員が頷き、笑顔を交わしました。
この夜、彼らは自分たちの願いが互いに支え合う中で実現されることを学び、クリスマスの奇跡を全員で共有しました。ギルドに響く笑い声と歓声は、夜空の星々に負けない輝きを放ち、クリスマスの夜を完璧なものにしました。
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