シーン2 表裏世界の詐欺王子

 この世界には表と裏がある。

 詐欺をしているのは、誰だってそうだ。

 でも——

 お父さんの詐欺は別格だ。 

 そう思って生きてきた少女 サラに、突然届いた手紙。

 その中身は——。


『ユリナです サラへ お父さん、山田稔は騙された、と電報があった。今すぐ来なさい。』


 お母さん、お母さん……

 稔は、お父さんはどうなったの!?

 困惑するサラ。駆け出した。コンクリ製の歩道。足音がよく響いた。

 少女の苦悶の表情の理由は、ただ、走っているという疲れだけで、お父さんが騙されたというのは、まるで他人事のように思えた。

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