フードレンジャーズ:キッチンランドを救え!

まさか からだ

第1話 パンの森の秘密

 むかしむかし、キッチンランドの「パンの森」は、とても元気な場所でした。ふわふわの食パン、カリカリのクロワッサン、そして力持ちのバゲットたちが仲良く暮らし、森にはいい香りが広がっていました。


 しかしある日、パンの森に大きな災いが降りかかりました。森を守る「パンの心臓」と呼ばれる大切な宝が壊れてしまったのです。それ以来、森の木は枯れ、パンたちは力を失ってしまいました。


 そんな森に、一人の勇敢な少年が迷い込んできました。彼の名前はリク。大好きなパンの森を救いたいと思っていました。




 リクが森を歩いていると、弱った食パンたちが倒れているのを見つけました。「大丈夫?」と声をかけると、食パンたちは小さな声で答えました。


 「森を救うには、バゲットソードを見つけて、壊れたパンの心臓を直さないといけないんだ。でも、私たちにはもう力がない……」


 リクは決意しました。「僕がそのバゲットソードを見つけるよ!パンの森を元気にするために、手伝わせて!」


 パンたちは驚きながらも、リクに感謝しました。「ありがとう。でもバゲットソードは、この森の奥深くに隠されているの。そこまでたどり着くのは簡単じゃないわ……」




 リクは森の奥へ進み始めました。途中でクロワッサンたちが道を塞いでいました。「君は誰だ?こんなところに何しに来たんだ?」


 リクはパンの森を救いたい気持ちをクロワッサンたちに伝えました。するとクロワッサンたちは目を輝かせて言いました。

 「それなら、僕たちも協力するよ!でも、まずこのぐるぐる迷路を抜けられるか試してみてくれ。」


 リクはクロワッサン迷路を進むうちに、彼らの形が道しるべになっていることに気づきました。「そうか!クロワッサンのカーブが道を教えてくれるんだ!」

 迷路を無事に抜けたリクは、クロワッサンたちに応援されてさらに奥へ進みました。




 森の最深部にたどり着くと、力強いバゲット族が立ちはだかりました。リーダーの「バゲットキング」は険しい顔で言いました。

 「バゲットソードを手にするには、森を本当に愛する心が必要だ。それを証明できるか?」


 リクは勇気を振り絞り、パンたちとの出会いや森を救いたい気持ちを正直に話しました。するとバゲットキングは頷きました。

 「お前の心は本物だな。これを受け取るがいい!」


 バゲットキングが両手で持っていたのは、黄金に輝く長い剣、バゲットソードでした。リクがそれを手にすると、不思議な力が体中に広がりました。




 リクはバゲットソードを持ってパンの心臓の場所へ戻りました。そこには、割れた宝石のような物体が横たわっていました。

 「これが森の力の源、パンの心臓なんだね……」


 リクがそっとバゲットソードを当てると、剣が温かく光り始めました。すると食パンたち、クロワッサンたち、そしてバゲットたちが次々と集まってきました。


 「みんなの力を合わせる時だ!」リクの声にパンたちが頷き、それぞれのエネルギーを送り始めました。


食パンたちの柔らかさ、クロワッサンたちの軽やかさ、バゲットたちの力強さが一つになり、パンの心臓がゆっくりと修復されていきました。




 パンの心臓が完全に蘇った瞬間、森全体が眩しい光に包まれました。枯れていた木々には再び緑の葉が茂り、パンたちの体には力が戻ってきました。


 「リク、本当にありがとう!君がいなければ、森はもう終わっていたよ!」パンたちは喜びの声をあげました。


 「みんなが協力してくれたからだよ。僕だけじゃ絶対に無理だった。」リクは笑顔で答えました。




 森が元気を取り戻した後、リクはバゲットソードをパンたちに返そうとしました。するとバゲットキングがこう言いました。

 「リク、お前はこの森を救った英雄だ。この剣を持って、新しい冒険に出るがいい。」


 リクは少し驚きながらも嬉しそうに剣を受け取りました。そしてパンたちに手を振りながら言いました。

 「またいつか遊びに来るよ!これからも森を守ってね!」


 こうしてリクは、新たな冒険へと旅立っていきました。パンの森は、みんなが協力すればどんな困難も乗り越えられることを学び、再び平和な日々を送ることができたのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る