第3話マドンナの嫉妬
もうすっかり日も暮れた夜、俺はようやく家の前に到着する。
疲れたからさっさと入ろうと思ったその時、ふと俺の部屋の電気がついているのが見えた。
……まぁ、電気を消し忘れただけだろう。
そうだ、きっとそう。
だから玄関を開けるとドタドタと聞こえてくるのも幻聴のはずだ。
そう願ってみたものの、やはり現実は厳しいもので……。
「センパーイ!」
元気よく声をあげながら、まるでご主人様を待っていたワンコのように日波が抱きついてくる。
おお! なんという、二つのマシュマロが俺を包み込むかのように……おっとと、いかんいかん。
俺が二つのメロンについて考えていると抱擁がどんどんと強くなっていく。
さすがに痛くなってきたので離れるように促すと、日波の視線が恐ろしいことになっていることに気がついた。
「ひ、日波? ちょっと痛いんだけど……」
「“先輩”、なんか帰ってくるの遅くないですか? 今まで、何処に行ってたんですか?」
おっと、これはまずいな。
返答次第では血が流れそうな雰囲気だ。
「えっとな、図書室で勉強してただけだから、お前が怒るようなことは何もしてないっていうか……」
「一人で勉強してたんですか? それとも私の知らない女と——」
いってぇー! やばいやばい! なんでかわからんが、めっちゃキレてるー!
「お、落ち着け日波! 一人、一人で勉強してたからー!」
「そうですか。それならいいです」
ふぅ、助かったー! 危うく締め殺されるところだったぞ。
嘘をつくことにはなったが、途中までは一人で勉強し、全てが嘘ってわけじゃないから大丈夫だろう。
にしても、案外すぐに収まったな。
何にキレてたんだ、こいつ?
「あっでも、嘘ついてたら許しませんよ」
あ、やっべー。
「ち、ちなみに俺が嘘をついてたとしたら、ど、どうなるんでしょうか?」
「そのときは先輩の家で大泣きします」
あれ? 意外と何にもしない?
「そして、先輩のお母さんに先輩に襲われたと報告します」
あっれー、思ったよりもやばそうだったー。
俺の母さんは日波のことを気に入ってるから、そんなことを知ったら……まずいな。
「そして先輩には出家してもらって、修行僧になった後、うちでペットとして飼います」
まじかよ、俺お坊さんになるのか……。
嫌だ! あんなツルッパゲは絶対に嫌だ!
「ちなみになんでお坊さん?」
「お坊さんになれば、先輩の煩悩も無くなって、先輩が禿げることでお邪魔虫の心配もなくなって、先輩の周りの女性は私だけになるので」
「まじかよ、ふざけんなよ。それだと一生彼女できねぇじゃねぇか。」
これは絶対にバレたらダメだな。
もしバレたら、俺の頭部が、終わる。
俺が怖くなってきたので頭を抑えていると、何か考えていた日波が頬緩ませ始める。
「まぁでも、そのときはー、私が先輩を貰って——」
「たっだいまー!」
日波が俺を——というところで仕事から帰ってきたであろう母さんが大声を上げながら家に入ってきた。
「あら? 二人とも、玄関で何してるの?」
「か、母さん……」
ま、まずい。
もし母さんに朝のあれやら、放課後のこれやらを言われたら……。
俺は身震いしながら日波の横顔をそっと覗き込む。
俺の視線に気がついた日波は……。
「お母さん! お邪魔しています! 丁度今、先輩が帰ってきたので今日は何して遊ぶか話してたんですよ」
よ、よかったー。
どうやら日波は俺を処刑台に送るつもりはないらしい。
「翔也、あんた日波ちゃんをほったらかしてどこほっつき歩いてたんだい?」
「いやー図書室で勉強してたら帰ってくるのが遅くなっただけだよ」
震えている俺に母さんは少し怪しんだが、それならいいわと言って日波と一緒にリビングに入っていった。
今日の秘密は墓場まで持って行こうと誓った俺は二人の後を追ってリビングへ入っていく。
その後は三人で話しながら夕飯を食べた後、母さんのもう夜遅いから泊まっていきなさいという言葉で日波は泊まっていくことが決定した。
ちなみに日波はよくうちに泊まっていくので寝巻きやら敷布団は常備されている。
そのため彼シャツもどきやら、一緒にベットでなどの騒動は起こらなかった。
まぁ、日波が風呂に入ってこようとしたり、いつのまにか布団に入ってきたってことはあったがな。
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次回は日波視点でイチャイチャシーンと日波の恋心がわかります。
楽しみにしていてください。
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