こんな悪党だから着いてきても何が起きても保証はしないぞ!(短編)
人中の蝮
第1話、運命って残酷だよな
自分の運命もここまで不幸だと何も失うものは無いなとヤケクソにしながら森を歩いていた。
自分は元々の世界で有名だった異世界転生と言うものを果たしたものだ。転生しただけで強くはないが転生特典というものが無くて困っていたが普通にある程度の実力はあるから良いかなと思っていたら。
18歳の時に父親から家を追い出された、家が貧しいから仕方無いというわけでもない。
ただ、自分は今はとても貧しいが元々侯爵家の長男で跡取りであったが次男が優秀なことに自分は平凡またはそれ以下という事で追放された。
自分は出来る限りのことはしてきたつもりです。跡取りは仕方がないとして追放はあまりにも酷いではないですかと必死に説得したが承諾はされず追放になった。
その時はかなり落ち込んだがいつまでも泣いてもしょうがないと冒険者になって普通に暮らせたら良いなと考えで冒険者になった。
今、思えばなんで冒険者になったのであろうか。冒険者になってからも苦労減るどころか増えた。
元貴族と言う事でイジメを受けていた、冒険者からして見れば数少ない貴族に対する仕返しが出来ていると思えるからであろう。
没落貴族を助けようとする貴族は存在しないからどんなにイジメをしても何も制裁はない、しかも仕返しも来ないと分かれば余計に虐めは酷くなった。
そんな環境に置かれても自分は逃げ出す訳には行かなかった。冒険者を辞めても他に仕事はないから生きていく事が出来なくなってしまうからどんなに辛くても逃げずに頑張ってきた。
それしか生きれないのには理由は確実に自分のせいだけど、あそこまでの大事を起こしたから世界の大半から指名手配されたことで治安が良くない冒険者ギルドしか仕事がないから。
そんな生活を12年間ほど耐えてきたある日に自分は他の冒険者達によって捨て駒として逃げる冒険者の囮になって自分は命ながら助かって森の中を彷徨っている状況だ。
実力はそこそこの自信があったが相手が悪かったとしか言えない相手だった。
転生すれば何かが変わると思って頑張ってきた、けれど結局は何も変わらなかった。前世でも虐めを受けて家族からも好かれずに一人孤独と感じた事が多かった。
今回はそうならない様に頑張ったつもりだが現実は甘くなかった。今は帰る場所も自分を心配してくれる人もいない。
人ではないけど心配をしてくれる者はいるか、でも先程の戦いで逸れてしまった。この森の中であるので心配をされるよりこちらの方が心配になってくる。あいつはドジっ娘だからな。
本当に転生して良かったと思えることは魔法が使えることとその者と出会えたことだけで他はそんなになかった。
そんな魔法も普通の魔法使いに比べると使える属性が少ないのだけどそれでも嬉しかったけど、今はこれからどうするかだ。
冒険者ギルドに戻っても酷い扱いをされるのは分かっている。幸いな事にお金は手元においてあるので街に戻っても買い物は出来るけど。
でもなと考えてる時に森の奥に光を放っている花を見つけたのである。その場所に向かってみると虹色の光を放っている花があった。
自分はこの花を知っている、伝説とも言われている天国の花と言われている花でその花びらはどんな病も呪いも治すという伝説がある。
実際にこの世界で百年前にこの花のおかげで治ったと記録もあるのでとても信憑性がある話だ。ついでに取引額は数億と言われている。
これを見た自分はとうとう自分に運が回ってきたと喜んだ。今まで不幸だったけどついについに来たと喜びながらその花を入手して街に戻ろうとした時に奥から何かが迫って来るのが分かるぐらいに何か大きなものが迫ってきた。
自分はすぐに隠れようとしたが一歩遅くその者と鉢合わせをした。それは大きな巨木の魔物みたいな物が姿を現した。
やばい、真面目に危ないやつだこれはと思って逃げ出そうとした時に巨木の魔物みたいな物が信じられない事をしてきたのである。
なんと自分に対してその花を譲ってくれませんかと言ってきた。いやいや、こんなに高額で取引されている花を譲るわけない。
自分はこの花を元で人生を立て直すだと決めた以上は譲れない、物凄く怖い相手だけど。逃げきれば後はこの後が楽になる生活が待っていると思っていた時に巨木の魔物みたいな物が泣き声みたいに呟いていた。
「ようやく家族に会えると思っていたのに・・・ごめんね、お母さんは・・・ごめんね」
おいー、かなり気まずい情報を与えてくるな。恐らく呪いであの様な姿になっているだろうけどさ、しかも子供もいる感じなんですけど。
自分には関係ないからと必死に自分自身に暗示していると巨木の魔物みたいな物がごめんねと呟いては泣いていた。
・・・クソーーー、楽な生活が来ると思っていたのにと悔しさを出しながら自分はその呪いで変えられただろう魔物みたいな物に先程採った天国の花を差し出した。
魔物みたいな物が泣き声を止めて本当に良いのですかと聞いてきたので自分は悔しさを出しながら答えた。
「本当はとても欲しいですけどそんな事を聞かされたら持っていけないですよ。早く使ってください、自分の気が変わらない内に」
魔物みたいな物が頭を下げてありがとうございますと感謝の言葉を言ってから花を取り使い始めた。
なんでこうなるだ、自分もなんで知らない他人の為にせっかくのチャンスを捨ててしまったのだろう。アホだよ、本当に自分はアホだなと呆れながらその魔物が本当に呪いが解けるのか見守る事にした。
すると魔物が花が放っていた光に包まれた、そうなると伝説は本当だっただなと思いながら光が弱くなるのを待った。
そうして光が弱くなり目も開けられるようになってきたので開けて確認をしてみるとそこにいたのは絶世の美女と呼べるほどのエルフがいたのである。
これを見た自分は遂に転生する物語みたいな事が起きたぜ。その時は喜んでいたけどその後に冷静に考えてみるとある事を思い出していた。
このエルフは家族に会いたいから先程、天国の花を差し出した。だからこんなに絶世の美女でも付き合う事は出来ない。
その様な現実を思いだしてやっぱり不幸だなと考えて自分の思いを隠せないほどに落ち込んだ。
その様子を見ていたエルフがこちらを心配しているようにしながら大丈夫ですかと聞いてきたので返事を返した。
「あ、・・・・はい、大丈夫です。少し疲れが溜まっている・・・だけですから気にしないで下さい」
自分はそう伝えたが向こうは明らかに大丈夫そうに見えないと言ってきた。それはそうだろうがと言いたかったが心の叫びを抑えてため息だけついた。
するとエルフが是非とも私の国に来て欲しいとお願いされた。理由はそこでならお礼もしっかりと出来るはずですからと言ってきた。
まあ、きっと何かしらの事はしてくれるだろうからついていくこともありかもしれない。それに自分は今、現在は帰る所もないから素直に提案を受け入れる事にした。
けれどこの森で逸れてしまった仲間がいるから少し待ってほしいと言うと国に戻れば捜索隊を出してくれると言われたのでそれならばエルフの国に向かった方が早いかと考えて着いていくことにした。
そして今、思い返せばここから自分の成り上がりが始まったかもしれない。地獄のそこまで落ちていた運が天を貫く様に伸びていくのは。
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