第17話 ちょっとそこのお姉さん、試しにうちでやっていかない?
「そう言えばこれは単純な興味なんだけどさ。栞って妹ちゃん以外とSMごっこしてみたいとか思うことあるの?」
翼ちゃんの一件が落ち着いてからしばらく経った、平日のある日。その日は珍しく新体操部の部活がお休みで、わたしは雛菜ちゃんと一緒に下校していた。その道中、雛菜ちゃんはごく自然にそんなことを聞いてきた。
「ちょっ、ひ、雛菜ちゃん! 公共の面前でなんてこと聞いてくれるの? ほんっと、雛菜ちゃんってたまにそういうところあるよね」
ジト目で雛菜ちゃんのことを見つめると雛菜ちゃんはまた、「ごめんって」と誠意のない謝罪をしてくる。なんか似たようなやり取り、前もやった気がするな……。
「まあでも、確かにそう聞かれるとすぱっと答えられないかも。そもそも奈央ちゃん以外の人に『恥ずかしい命令して!』なんて言ったら、それこそアブナイ人じゃん」
わたしが逆の立場だったら絶対その人とは距離置くな、うん。
「それに、別に痛いのや苦しいのが特別好きっていう訳じゃないし、奈央ちゃんに『命令』されてると期待とかプレッシャーとか全てを忘れられるから、気持ちいい、っていうところもあるから、誰でもいいってことじゃないんだと思う、たぶん」
「なら、良かったら私で実験してみない?」
「えっ、雛菜ちゃんってそっち系の人だったの⁉」
わたしが大きな声を出してしまうと、雛菜ちゃんは慌ててわたしの口を塞いでくる。
「ちょっと、声が大きいって。こんな公衆の面前で、誤解されたらどうするのよ」
その言葉、数分前の雛菜ちゃんにそっくりそのままお返しするよ。
「それに、私はそう言うのじゃないって、たぶんだけど。ただ、栞達の特別な関係が、本当に姉妹のみのものなのかなぁ、とちょっと興味が湧いて。 それに今夜、うちに親いないし、良かったら寄ってって試してみない? まあ栞が妹ちゃんを裏切ったような気分になる、とかやりたくなければ無理強いするようなものでもないけど」
雛菜ちゃんの提案にわたしは溜息を吐いちゃう。
「誤解を招きそうな言い方が若干引っかかるけれど……まあ別に今日は奈央ちゃんが部活から帰ってくるまで暇だし、奈央ちゃんとわたしは付き合ってるわけじゃないし、そもそもSMに寝取られとかないだろうから、付き合うよ」
「やった!」
わたしの答えに雛菜ちゃんは小さくガッツポーズをして見せた。
「それでSMプレイって、いつもはどんなことやってるの?」
雛菜ちゃんの部屋までやってくると。雛菜ちゃんは早速わたしに聞いてくる。
「最初は奈央ちゃんの前でお漏らしさせられたよ。その次の日はノーパンで下校させられた」
「うわ、いきなりハード。私達のはお遊びみたいなものなんだから、もっとフツーなのないの?」
「普通ねぇ。目隠しさせられたり手足縛られたりしていろいろされるのは今でも奈央ちゃんによくやられるよ」
「じゃあ私達もそれで行ってみようか」
「テキトーだなぁ」
そう零しつつも、わたしは雛菜ちゃんに言われるがままに縛られることになった。雛菜ちゃんの部屋には麻縄なんて転がってないから、リボンで代用することにした。
雛菜ちゃんが縛りやすいように言われる前に両腕を背中に回して差し出すと
「えっ、なんか縛られ慣れてるみたいでちょっと怖いんだけど……。栞、思ってた以上に従順過ぎない?」
と思った以上に引かれた。
「し、失敬な。雛菜ちゃんの方からわたしを(物理的に)束縛してみたい、って言ってきたのに」
「あーはいはい。今のは私が悪かったって」
そんな軽口を叩きながら、雛菜ちゃんはかなり苦戦した末にわたしを縛ることに成功する。ちょっと手足を動かしてみると確かに一人では抜けなさそう。でも、ゆるゆるで、奈央ちゃんに縛られる時ほど興ふ……束縛感を感じず、はっきり言ってちょっと物足りない。
「ねえ雛菜ちゃん。もっと強く縛ることできない?」
「我儘な奴隷さまだなぁ」
わたしの頼みに応じて雛菜ちゃんはいったん両腕のリボンを解いて、今度は強く縛り付けようとするけど
「あっ、やばい、ち、血が止まる! ちょっと、タンマ!」
今度は強く縛りすぎて命の危険を感じた。額に薄っすら冷や汗もかいたし。
それから雛菜ちゃんとわたしはいろいろと試行錯誤したけれど、雛菜ちゃんとのSMプレイは気持ちよさを感じたりする以前に焦ったり物足りなさを感じたり、結局奈央ちゃんとやるときと雲泥の差だった。
「やっぱ
わたしの拘束を解いてそう纏めようとする雛菜ちゃんにわたしは「うーん」とうなる。
「まあ、それもあると思うけれど、やっぱり雛菜ちゃんのことはそういう目で見れないんだと思う。雛菜ちゃんとやるときは恥ずかしいっていうよりも、なんか遊びみたいに感じちゃうもん。雛菜ちゃんとは友達でいた期間が長すぎて。それに、雛菜ちゃんの縛りからは愛が感じられないんだよなぁ」
わたしのコメントに雛菜ちゃんは「厳しいなぁ」と苦笑していた。
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