リサイクルガチャで伝説作ります!?~無能領主の開拓記~
AKISIRO
第1話 無能領主誕生
「父上ー」
1人の15歳の少年の叫び声が轟いた。
周りの人々は領主が死んだというのに淡々としていた。
「さぁ、ガルフ様、あなたが領主となるのです」
そう呟いたのは、ダークエルフ族のリンデンバルク執事長であった。
彼は父親が買い取った奴隷であったし、ガルフのよき兄貴分でもあった。
「お、俺がですか」
「そうです。バルフ・ライクド様はあなたを領主にする事を決めています。バルバッサ国王には既に言伝を終えております」
「でも、俺は、出来るとしたら、剣術と冒険くらいしか」
ガルフ・ライクドは15歳だが、1人でゴブリンを100体相手するほどの豪遊の持ち主でもあった。
昨日は1人でダンジョンを攻略してしまうほどの逸材でもあり。
何より、そう仕上げたのはリンデンバルク執事長の恐ろしい修行の成果でもあった。
「ガルフ様は頭の方はあまりよろしくなくてよ? おほほ」
隣の領地のジンネ・ギャロフ領主の奥方が呟いていた。
バルフ領主が死にそうな話が広まり、ウィンドルク国の12の領主がここに集まっているはずなのだが、殆どの領主が代理をよこしてきた。
その一人がジンネ・ギャロフの奥方であったのだが。
「良い事? あなたには領主は無理、だから、この領地をジンネ・ギャロフに明け渡しなさい、きっと国王陛下もそう望んでいるはずですわよ」
「だとしても、俺は、頭は悪いかもしれないけど、俺は、父親の残したこの領地を開拓したい」
「でもね、あなたがいかに冒険者として優れていても、リサイクルガチャという意味不明のスキルでは、何も出来ない気がするのよ?」
この世界では、1人につき1つのスキルが神様より与えられると言われている。
神殿での鑑定を終えたガルフはリサイクルガチャというスキルがある事を知らされる。
まず、リサイクルというのが何なのか理解出来ない。
次にガチャというのが何語なのかも理解出来ない。
「それでも俺は、ここを領地として守り通すんです」
そう断言した時。
脳裏に声が響いた。
【告知 領地を我がものとする事が出来ました。この領地にあるすべての物をリサイクルする事が出来ます。質問はありますか?】
「あ、へ? リサイクルって何?」
「は? あなた頭がおかしくなったのでは?」
「いや、あんたに言ってないから」
「あんたって、あなた何様のつもりよ」
隣の領主の奥方が怒りを表して帰っていく。
周りの領主の代理達も訳が分からず1人また1人と死んでいった父親に挨拶すらせずにいなくなる。
「ガルフ様?」
ゼーニャメイド長が尋ねてきた。
彼女は幼い頃から鬼のように戦い方と礼儀作法を教えてくれた。
だが、年齢は同じのはずだった。
【リサイクルとは、物を別の物に置き換える事が可能と言う事です。それをガチャ券にします】
「ガチャ券とは?」
【ガチャ券とは1枚につき、S/A/B/C/Dランクの【武具・道具・アイテム・食料・人間・モンスター等々、他にも】などが出る事があります】
「そんな物凄いスキルだったのか」
【あなたはこの領地の所有権があります。リサイクルをしますか?】
「その前に君の名前は?」
【えと、神声とでも呼んでください】
「なら、そうだなー後で考えるよ」
【御意】
ガルフはにこやかに父親の亡骸を見つめていた。
そして、ゆっくりと振り返った。
バルフ領主の寝室に既に代理の領主の人々はおらず。
残されているのは。
ロングヘアーを一つにまとめている女性。白いメイド服を着用させながら、腰には2本の剣が携えられている。メイド長のゼーニャ。
もう一人は。
黒と白の紳士服を格好よく着こなし、腰にはレイピアを携え。褐色の肌をしており、耳がとんがっているダークエルフ族の男。年齢は不明だが100歳は超えているとの事。
執事長のリンデンバルク。
2人が真剣な眼差しでガルフを見つめている。
「俺は無能かもしれないけど、領地を良くしたい気持ちはある。付いてきてくれないか?」
「もちろんですわ」
「もちろんです」
2人は快く頷いてくれた。
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