オンム・セティ〜時をかける巫女〜

みるとん

序章 贖罪

 夢を見ていた。

 目の前には見知らぬ男。その出立は現代のものではなく、自分がいるこの建物もまた、まるで古代の遺跡のような奇妙な様相を呈していた。その手に棒を握ったその男は険しい顔でしきりに何か口にしている。言葉は理解できないが、目の前の私を軽蔑し、激しく避難しているのは理解できる。彼は私を耐えず罵りながら、その体に何度も鞭を打ち据えた。


 侮蔑に満ちたその顔は自らの犯した罪を認識するのに十分なものだった。耐え難い痛みと苦しみの中で、自分はとんでもない罪を犯したのだと、自覚せざるを得なかった。そして少女、もとい私の悲壮な決断は愛する男の窮地を救う事となった。


「娘よ。私はそなたの事を決して忘れはしまい。私の軽率な行いがそなたを苦しめ、その輝かしい未来をも奪ったのだ。自らの罪と向き合い、再び相見あいまえるその日まで、私は孤独に絶え続けよう」

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