聖夜に叶える恋の約束
@tablegood0212
第1話
夜は今月末に行われる試合に向けてトレーニングに励んでいた。午前中にはジョギングと筋トレをして軽く汗を流すのが日課である。季節は秋も終わり、長い冬が始まろうとしていました。ボクシングは小学生の頃からしていて、高校を卒業したらプロテストを受けようと思っています。試合はタイで行われます。
星はフィギュアスケートの選手です。市内の高校に通いながら、4年後のイタリア・ミラノ冬季オリンピックを目指しています。コーチをしている父も学生の頃から20年以上の選手生活を経験しています。社会人コーチから独立して、星の私生活の面倒をみながら、今月末に香港で開催されるジュニアの試合を目指している。
夜と星はSNSで知り合い連絡をとるようになって、声をかけたのは夜の方だった。星が身体の体幹を鍛えたくて悩んでいる時に、筋トレがすきな夜がアドバイスしたのが知り合うきっかけです。星と夜は高校3年生で、お互いにスポーツで夢を追いかけているので親近感がわきました。夜のクールで遊び人の雰囲気にも惹かれました。
夜は金髪の髪にピアスもあけているのでナンパな男に見られても仕方なかったが、星のSNSを1日に何度も確認する几帳面な男性でした。星を知ったきっかけは夜の母親がコーチをしている星の父親の現役時代からのファンで、夜も子供の頃に何度も試合を見に行った事があるのです。星にはこの事は内緒にしています。
ジムでお世話になっている会長が、クリスマスの試合は来年のプロテストに繋がる大事な試合だから、これからがかかっているぞとプランニングに力を入れる様に指示を出します。学校はプロスポーツを目指す為のカリキュラムを組んで、生徒を集めていたので、夜にとっては卒業試験みたいなもので、どうしても勝ちたかった。
星のコーチである父親の学は星にジュニアの大会で、海外の選手に揉まれて結果を出さないと全日本選手権で通用しないよと説明しました。星はプログラムの演技や技の構成に磨きをかけているからクリスマスの試合には自信を覗かせていた。学も星のこれからを考えれば、拠点を海外に移す事も視野に入れていた。
夜と星は学生という充電期間を終えて、もう一つレベルの高い場所に挑戦する為に、良い結果が欲しかった。周囲の大人達も2人に期待して、努力すれば目的を達成できるはずだと声を掛けていたのである。2人はプライベートの時間も欲しかった。大人と過ごすだけじゃなくて、ティーンの友達が必要だったのである。
夜がトレーニングの為にジョギングしていると、商業施設にはクリスマスツリーが飾られて、赤や青のキャラクターがデコレーションしてあり、金や銀の鈴やフィルムでPOPに作られています。ブランドストアから聞こえてくるメロディは恋人達の気分を盛り上げて、もう暫くすれば今年も終わるのだなと感じられました。
星は父親の学と近所のアウトレットで買い物をしていました。今年頑張ったご褒美に高級ブランドであるGUCCIのバックが欲しかったのである。店内で楽しくスタッフの女性と談笑していると、外のショッピングモールのベンチで同級生の男女が仲良く手を繋いで座っているのが見えました。スマホの待ち受けに夜からの通知が入りました。
夜は星に誰とでもアプリでやり取りしてるのと尋ねます。夜と頻繁にやり取りする様になって、1週間経過します。星は以前から夜が星のSNSを見てくれていたのは知っていたけれど、実際に連絡するきっかけを作ったのは星からで、お互いに必要としているのは分かっていました。実際、夜からの通知を楽しみにしていたし、恋の駆け引きをしてみたかった。
星がアプリでやり取りをしているのは夜だけで、クールな遊び人と話したが、実際に逢った事はないので、知り得る情報はサイトのプロフィールだけでした。夜の文章の言葉の使い方や日常の過ごし方を読んでいると、星の妄想は膨らんでいくのである。星は夜をよく観察して人物像を作り上げてお気に入りにしたかったのです。
星は夜にクラスメイトみたいに恋愛を楽しみたいのと答えた。夜は星がお互いを必要としている純粋な想いを持っているけど、独占欲が強いと思った。独占とは心の支配じゃなくて物理的な時間の要求である。心や感情が何時迄も分からないでいて欲しいとは望まなかったが、星を求めるコストをかけて欲しかった。
夜は心や感情が分からないから人は他人に興味を持つと思っていたが、星は夜に興味があるとは見えなかった。それよりも自分の価値を夜に認めて欲しいと想い、そのコストを等価交換として時間に置いていたのである。簡単に言えば夜に特別扱いして欲しかったのだ。だから夜もクリスマス迄の関係だと思っていた。
じゃあ夜は星に何を求めていたのか?夜は18才だが女性がよく分からないし、ボクシング一筋でやってきたので女性と恋愛を経験したかった。何かの縁で星と知り合い、星もフィギュアスケーターで遊び慣れていなかったので、星の真面目さにも惹かれたし、夜の心の深い所と向き合ってみたかったのである。
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