魔力


 さて、考察検証はこのぐらいにしておいて。

 

 いよいよ魔法使いスケルトンの攻略だ。



 魔法使いスケルトンと戦ううえで壁になるのが、弓スケルトンの時と同様「遠距離攻撃」である点だ。



 まずは魔法使いスケルトンの感知ギリギリの場所まで移動し検証する。


 弓スケルトンを攻略した時と同様、爆竹で音・振動をごまかしたり、アルミシートで熱感知をごまかしたりしてみたが・・・効果なし。

 こちらに向かって切れ目もなく魔法を放ってくる。魔力切れとかしないのか?

 


 まあ、だいたい予想はしていた。

 魔法使いなんだから、「魔力を感知」しているだろうというのが大方の予想だ。




 実際、こいつを倒すための案はいくつかある。


 一つは「弓」だ。

 

 リーチが問題なら、それで勝る武器で戦えばいい。少なくとも同程度の射程があれば十分だ。

 私は同じ射程なら弓に分があると考えている。


 この案のデメリットは、新しい弓が必要だという点。既存の弓では弦の張りが弱く、射程が足りない。

 

 つまり、五層目の弓スケルトンを弓がドロップするまで倒す必要がある。(ドロップする保証もないが)

 リポップするまでの時間も考えると、少し時間がかかりすぎる。



 そこで今回は二つ目の案だ。

 相手の「魔力感知」を誤魔化す。


 今までの五層目攻略に基づいた、至ってシンプルな作戦。

 それに、魔力に関しては確かめておきたい部分もある。


 方法は考えてきた。準備もしてきた。



 ******


 

 魔力関係の対策・考察は、かなり前から取り組んできた課題だ。


 なにせ、スケルトンに金属バットが効かず、矢筒で殴る戦法になったのもこれが原因だからだ。

 ダンジョンの出現以来、ずっと頭を悩ませてきた問題ともいえる。


 だからこそ、これらの方法は長い間準備してきた。



 インベントリからの入った瓶を取り出す。

 これは今までのアイテムたちと違い、副葬品でもドロップ品でもない。


 大げさに言えば、初めてしたアイテムだ。



 瓶の蓋を開け、中身の一部を手に取りだす。


 

 風が吹けば舞い上がるほどに細かいこれは、【魔石の粉末】だ。ここまで砕くのにすごく苦労した。



 今のうちに、防塵マスクを忘れずにつけておく。未知の物質だ、吸い込んで大丈夫な保証はない。

 盗掘時の砂埃や花火の煙対策にも使ったマスクだが、本来考えていた用途はこちらだ。



 手に取った分の粉末を、スケルトンに向かって撒く。これで私の魔力を隠す。

 足音をより大きな音で隠すように。


 魔石の欠片に松明の光が反射して、きらきらと幻想的だ。



 魔法使いスケルトンの様子はどうだ?

 

 ・・・・・・


 ・・・


 感知範囲に入った私には目もくれず、【魔石の粉末】を撒いた場所に向けて魔法を放っている。


 よかった...なんとか魔法使いスケルトンの感知を潜り抜けられそうだ。

 如何せん魔力を見れないし感じられないため、魔力関係の考察はぶっつけ本番になりがちだ。

 



 成功を確信し、油断した


 スケルトンが放った魔法の火が【魔石の粉末】に触れた瞬間、



 大きな火柱が立ち上った。



 !!

 びっくりした!!


 まさか...こんな反応を引き起こすとは。

 事前に少量の粉末で引火性を確かめた時には、何の反応も示さなかったのに・・・


 この【魔石の粉末】用意できた量が少なく、あまり検証に使えなかったのが仇になった。

 


 相手の感知を欺くという目的は達成できたが、これでは逆に危なっかしくて近づけない。



 渋々だが、もう一つの魔力感知対策を試そう。


 もう一つの方法は、感知される魔力を無くすことだ。


 そんなことが出来るのかって?もう何度もやっている。


 

 ご存知”魔力切れ”だ。



 ******



 インベントリ内から適当な未鑑定のアイテムを取り出して、鑑定していく。


 おっと、【器物の指輪Lv1】これでもう8個目だ。同じ効果の指輪を使って、合成とか強化とかできないのかな?そろそろダブりが増えてきた。



 そんなこんな繰り返すうちに、そろそろ魔力切れだ。

 何度も経験すれば、予兆もつかめてくる。

 

 さて、これで最後だ。

 【伝心のイヤリングLv2】

 対を着けた相手に意思を伝える。


 今のところ使い道がない系のアイテムだ。というか対のアイテムはどこだ?




 ・・・無事魔力切れ状態になった。(無事ではない)


 普通ならこの時点で気絶してしまうのだが、度重なる魔力切れで鍛えた【気絶耐性Lv4】がそれを許さない。

 レベルが上がったことでマシにはなったが、相変わらずひどい眩暈と頭痛だ。

 気絶しないだけで動くことすらままならない。

 

 普通なら。

 

 何十回、何百回と経験すればこの状態にも慣れるものだ。

 


 状態:魔力切れ

 _____

 筋力 10

 敏捷 10

 器用 13

 魔力 1

 _____



 さあ、魔力はすっからかん!

 加えて、そもそもの魔力ステータスが最低値の1!!

 

 この状態でも私の魔力を見つけられるかな?

 


 *********


 

 ふらふらと、とまではいかないが歪む視界をこらえながら、魔法使いスケルトンの目の前まで来た。


 ここまで、なんと一切の反応なし。


 まるで透明人間にでもなった気分だ。


 念のため、インベントリ内にしまっていた武器を取り出すが、これにも反応なし。

 武器にも魔力は含まれているはずなのだが反応しない。人との違いは何だろう?


 

 スケルトンの首を刎ねる、抵抗もなく胴体が崩れ落ちた。

 念のため頭も潰しておく。

 

 これまでの苦労に比べれば、最後はあっさりだ。


 

 ドロップはこれまでのスケルトンと同様のクレスト(魔法の杖バージョン)。

 そして、謎の玉。玉?


 宝玉というのだろうか?吸い込まれるような見た目。まるで小さな宇宙のようにも見える。

 効果はわからないが、インテリアとしては100点だ。せっかくなので部屋に飾っておこう。


 お楽しみの背後の墓に入っていた副葬品は・・・義眼。

 

 デザイン違いではあるが、これで剣士スケルトンが落とした義眼と合わせて両目分がそろった。

 

 これでいつ失明しても安心だな!ガハハ。

 


 ・・・五層目の副葬品の異様な義肢・義眼率の高さは何なんだ?

 この時代、明らかに何かが起きていた。



 _____________


【魔石の粉末】

 ウサギやオオカミ、■■■■の魔石、スライムのコアなどを砕いた粉末。



 鑑定作業の”魔力切れ”中、回復までの間にコツコツと粉砕していた。

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