論功行賞 再び
「何故だ、なぜ俺が負けた!? 初日は間違いなく俺が勝っていたのに――!」
「言ったでしょう、赤槍の効果など迷信だと」
初日は確かに彼女に勢いがあった。
しかし戦闘を重ねるにつれ、彼女の赤槍を見ても勢いを保つ敵が増えていき、逆に私の黒槍を見て逃げる敵が増えていったのだ。
「色に意味があるのではありません。色に強さという意味が乗って、初めて効果があるのです」
最初は色を見て判断していた兵も、今までと強さが違うことに気づいて判断の色が更新された。
――ということにしておく。
なってください。なってくれないと困るので、ここは話術と勢いで丸め込む。
「いいや、でも、俺だってアンタに大差つけられるほど弱いはずが、」
「そもそも貴女の夢は、そんな形で成し遂げて良いんですの? クロスバック最強と、己こそが赤槍の武者と、名を轟かせると約束したのでしょう?」
「なっ――!?」
「どうやら、図星のようですわね」
よかった、当たった。多分そんなとこだと思ったけど。
戦国の世なら誰もが通る道だ。幼い約束。強くなって戦場で相見えようと、赤い槍を持てる武士になると、誰かに誓ったのだろう。
「一つ助言しておくと、そのやり方ではいつまで経っても叶えられませんわよ」
「ツっ、勝ったからってテメェにそこまで言う権利はねぇだろ! テメェに何が分かる!?」
「分かりますわよ、だって貴女、槌の方が向いてますもの」
「…………は? え? なんだって??」
十八般武器の副次的な効果とでも言えばいいだろうか、私の頭にはあらゆる武器を扱う術理が強制インストールされているし、その結果肉体を見ればどんな武器が向いてるか程度は分かるのだ。
腕と背中の恵まれた筋肉。骨格の太さ。彼女は明らかに、より重い武器が向いていた。
「借りて来た色でなんとします、お嬢様なら自分の色を誇るべきですわ。例えば『紫槌』なんてカッコいいと思いませんこと? 紫は高貴な色ですわ」
そう言って、インベントリから紫色の大槌を出し、少女へと放り投げる。
私の伝手で作れる範囲の、そこそこの素材で作ったそこそこのハンマーだ。
これを間に合わせるために色々ネゴったりもしていたのだった。
「んな!? あ、アンタこれ……」
「クリムゾンちゃんほどじゃありません、貴女にはこれくらいが相応しいでしょう。そのうち出世して、自分でもっといい武器を作ってくださいな」
「はは、ハハハ――なるほど、これが皆朱の槍の器ってやつか」
その後、『紫槌の岩兵衛』がクロスバックに名を轟かせたのは言うまでもないだろう。
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