第二章 私はラッパー JAPPA RAPPA MOUSE
第10話 一般人
〈いまだかつて ないほど入り組んだway
悩めるだけ悩め 時が来たらかませ
風まかせ どっちみちいばらのway
俺らは大器晩成 時が来たらかませ
I wanna be a 勝者
I wanna be a 強者
まだ見ぬ高みへ駆け込み乗車
花火のような 運命だろうが
我が身果てるまでやりきれそうya〉
イヤホンから爆音で耳に直接流し込み、歌詞を表示させたスマホの画面を凝視する。
良い曲だな、Creepy Nutsの『かつて天才だった俺たちへ』。最近色々ラップを意識して聞いているけれど、ギャングスタとかフレックス系の荒々しい特別な人っぽいラップよりも、こういう一般人的な感性がある曲がやっぱり聞きやすい。
そろそろ始業のチャイムが鳴る時間だ。私は再生を止め、イヤホンを耳から外した。教室の中はまだ落ち着く気配が無い。左斜め前にはマリちゃんの机があって、彼女の周りにはツバサちゃんとメミちゃんがいる。私は一人自分の席に座って、静かにチャイムを待っている。
あの出来事から一か月近くが経過したが、状況は何も変わっていない。私は教室で一人ぼっちのままだ。だけど私は独りじゃない。
スマホに通知が来た。ユウからだ。
『昼休み、いつもの場所で』
振り返ると、後方の席にいるユウが頬杖を突きながら目配せしていた。私は頷いて、すぐに『了解』と打ち込んだ。
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