第28話 ゴーレム

 巨大なゴーレムが立ちはだかった。

 扉を締め切られてしまい、逃げ場がない。俺は聖剣を構えて攻撃に出る。


「うおおおおお!」


 巨大なゴーレムに聖剣を突き立てるが歯が立たない。聖剣をもってしても傷一つ蹴ることが出来ない


(聖剣が応えてくれれば倒せるのに!)


 俺は陽動に徹する。出来るだけ注意を引けるように攻撃を続けてヘイトを買う。


「やあああああああ!」


 セラは戦斧の刃を巨大化させて攻撃をする。ゴーレムは腕をクロスさせて防御の姿勢を取った。セラの攻撃はゴーレムの腕を少しだけ削り取った。


「セラの全力なのに!」


 セラはゴーレムの反撃を戦斧で受け止めて後方に跳躍する。同時にミリィが魔法を詠唱する。


「フレア・ボム!」


 ミリィは渾身の爆発魔法をゴーレムに向かって放った。彼女の攻撃はゴーレムの片腕を吹き飛ばした。しかし、もう一体のゴーレムが俺とセラを蹴り飛ばした。


「がはっ」

「うっ!」


 ミリィが咄嗟にサポートに出ようとしたが俺は首を横に振って制止を試みた。いまここで有効打を放てるのはミリィしかいない。彼女には攻撃をし続けてほしかった。


「ミリィが頼みの綱だ! ミリィは攻撃に専念してくれないか?」

「わかりました」

「セラも頑張るよ」


 俺とセラは二体のゴーレムを分断させるために左右に散った。

 いまの俺の力では聖剣のポテンシャルを活かしきれない。俺は聖剣で攻撃をいなしながら反撃を行うが、全く歯が立っていない。どうにかしてミリィにつなげないといけない。それが俺にできる最善なんだ。何とか隙を作ってミリィにバトンを渡さないといけない。そうしないと生きて帰ることは無理だろう。


 俺は完全にゴーレムの間合いには入り、ゴーレムの邪魔をする。


「ぐおおおおおお!」


 ゴーレムは咆哮をあげながら拳を俺に向かって放った。

 俺は身体を回転させて避ける。そして、そのままゴーレムの拳に縦に一文字斬りを行った。それでも聖が弾かれて大きくのけぞった。

 そのすきをゴーレムは機械的に刺してきた。

 巨大な拳が俺を襲う。俺は後ろに跳躍して威力を殺しながら後方に飛ばされた。

 見た目こそ派手に吹き飛んだが、受け身が出来る分こっちの方が安全だ。


「リオス! 大丈夫ですか?」

「だいじょうぶ?」

「あぁ、負けていられない!」


 決定打に欠ける。ゴーレムが固すぎるのだ。このままでは消耗戦になり圧倒的に不利だ。俺は何とか打開策を考えるが思いつかない。


 (しっかりしろ! みんなを守るんじゃないのか?)


 俺は聖剣を構えて祈りを込める。聖剣は光刃を纏いて俺の意思に応える。


「うおおおおおおおお!」


 俺は怒涛の連撃を放った。少しずつ確かに削っていく。そして、胸元に核を発見する。俺は跳躍してそのままゴーレムの胸元にある核に向かって聖剣を刺した。

 瞬間、ゴーレムは砂のように崩れていった。


「こいつの核を狙おう!」

「わかった!」

「わかりました!」


 俺たちはいま動いているゴーレムに向かって三位一体となって攻撃していく。

 俺が陽動をして攻撃を誘い、そのすきを狙い、セラが戦斧を振るう。そして、安全圏からミリィが魔法で狙撃をする。

 二体いたうちの一体を倒したことで戦いやすくなった。


「畳みかけるぞ!」

「「はい!」」


 俺たちは連携を取り、ゴーレムに攻撃をかける。

 俺は聖剣に光刃を纏わせて全力の袈裟切りを放つ。そこに、セラが兜割で思い切り縦に一撃を入れる。そして、露わになった核に向かってミリィが魔法で攻撃をして核を破壊した。ようやく二体倒した。


「残りも動くんだよな?」

「そのようです」

「せっかくセラ達で倒したのにまだ来るの?」


 案の定もう二体のゴーレムが動き出した。今度は盾を持ったゴーレムと剣を持ったゴーレム。さっきのゴーレムよりも強力そうだ。


「気を付けて! きっとさっきのよりも強いから!」

「わかった」

「わかりました」


 俺たちはゴーレムに構えを取り行動を観察する。

 ゴーレムたちは盾で守りを構えながらもう一体の剣を持ったゴーレムがじりじりと詰めてくる。

 まるで戦術を使えるようだった。

 俺は剣士のゴーレムに向かって突っ走る。しかし、盾のゴーレムが被せるようにカバーをしてくる。


 (っち、厄介だ!)


 俺は盾の隙間を狙って攻撃を試みるが、器用に盾で受け止めてくるせいで攻撃が通らない。そのすきを突くように剣士のゴーレムが攻撃をしてきて隙がない。

 俺は一度後退を試みる。

 セラは盾ごと叩き割ろうとするがそのままシールドバッシュで吹き飛ばされた。


「セラ! 大丈夫か?」

「うん、こいつ強い」

「私が何とかしてみます」


 ミリィは盾のゴーレムに向かって魔法をかける。

 風の魔法で竜巻を引き起こしてそこに炎を混ぜる。火災旋風を引き起こした。

 盾のゴーレムはガードで応戦しているが、徐々に赤熱化していく。

 そして、今度は氷の魔法で盾のゴーレムを氷漬けにした。


「これでいけるはずです!」


 ミリィは土魔法で足場の岩を隆起させて、盾のゴーレムを下から叩き上げた。

 すると、盾のゴーレムが砕けるように割れて崩れていった。


「何をしたんだ?」

「石は急激な温度変化に弱くもろくなりますから、ゴーレムの強度を落としました」

「ものしりだな」

「魔法を教えてくれた先生が博学だっただけですよ」


 俺は剣を持ったゴーレムに向かい合う。

 聖剣に祈りを込めて光刃を大きくする。


「聖剣よ、俺に応えてくれ!」


 剣士のゴーレムが剣を振るう。俺は渾身の一振りで迎え撃ち、剣士のゴーレムの腕を切り落とした。


「セラにも力を貸して!」


 セラの戦斧は刀を伸ばし巨大な大斧に変化する。そして、そのまま叩き斬った。

 ゴーレムは砕けるように崩れ落ちていった。


「やったか」

「何とか倒せましたね」

「強かったよ」


 ゴーレムを倒したからか、宝物庫の扉が開く。

 俺たちは宝物庫へと向かった。


「うそだろ?」


 しかしそこには何もなく、もぬけの殻になっていた。

 そして、奪われたはずのレガリアの行方はいまだわからないままだった。

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