第10話 学校と友達と! 転校生は超優秀⁉

 ステラが教室きょうしつせきについたところで、マーサ先生がやってきた。マーサ先生は緑色みどりいろのドレスローブに、かみをお団子だんご一つにたばねている。マーサ先生が黒板こくばんの前に直前ちょくぜんに、ロジャーと召喚獣しょうかんじゅうのワッツがやってきた。ロジャーはあら呼吸こきゅうをしながら、ステラをぬすつつ、席に着いた。


「ロジャーさま、ギリギリでしたね」

「うるさい」


 白ヘビであるワッツの言葉ことばに、教室ではどっと笑いがき起こった。マーサ先生が、おほんと咳払せきばらいをしたが、ざわざわとした教室はわらなかった。


「ごほん。それでは授業を始めます」


 マーサ先生はチョークをつえうごかしながら、文字もじを書いていった。マーサ先生は黒板を見ずに、生徒たちを見つめている。


「本日は属性ぞくせいについて勉強べんきょうします。魔法まほうにはいくつかの種類しゅるいがあります。これが、属性です」


 チョークは黒板に、『種類とは属性のことである』と書き込んだ。ステラだけがノートにそれらをしていく。


「まずは火の魔法です。火属性ひぞくせいといいます」


 マーサ先生は杖を一振ひとふりすると、教壇のロウソクに火をつけた。


やしたり、あたためたりすることができます」


 ブルーの火のブレスは火属性だ。ブルーは得意とくいげになって、むねった。朝ごはんをいっぱい食べたため、大きなお腹がででんとしている。ステラは笑ってしまった。


「次に、水の魔法です。水属性みずぞくせいといいます。なにもない場所ばしょから、水をつくり出したり、うごかしたりすることができます。こおりを作るのもこの魔法ですね。氷をかす場合ばあいも、水属性の魔法を使います」


 ミミィの召喚獣レミィの使う魔法だ。氷を溶かす魔法については、バラの中庭なかにわで見せてくれた。

 ブルーの場合、時間はかかるが氷を溶かすことはできる。しかし、バラも燃やしてしまうのだ。ブルーはかしこくなったといわんばかりに、更に胸を張った。大きなお腹がでででんとした。


 ロジャーの召喚獣ワッツも水魔法の使い手だ。ワッツはどちらかというと、こおらせる方が得意である。ロジャーは凍らせたバラを溶かされたことを思い出し、ミミィをにらみつけた。しかし、ミミィはマーサ先生を見ており、ロジャーの目線めせんにはづかなかった。


「それから、風の魔法です。風属性かぜぞくせいといいます。空気をあやつる魔法で、何もないところから風を出したり、物を空にかせたりすることができます。内緒話ないしょばなしをするために、防音結界ぼうおんけっかいれるのも、風属性です」


 風属性と聞き、なぜかブルーが胸を張った。お腹はででででんとしていた。ステラはブルーが風魔法も使えることを、知らなかったのだ。そういえば空に浮いているが、翼はあまり羽ばたいてはいない。浮遊魔法ふゆうまほうを使って、空にいているのかもしれないと、ステラは思った。


「最後に、土の魔法です。言うまでもなく、土属性つちぞくせいです。では、ここで皆さんに質問しつもんです。土属性はどのような魔法でしょうか?」


 生徒たちは皆、顔を見合わせながら首をよこった。


「土属性を扱う方は、非常ひじょうめずらしいのです。それがなぜなのかもわかる方はいますか?」


 ロジャーでさえ、むずかしい顔をしている。わからないようだった。


 そんなとき、ゆっくりと手が上がった。ステラだ。


「ステラさん、どうぞ」

「はい。土属性は、石や土をあやつる魔法で、大地の力を借ります。花を咲かせたりできるのはもちろんですが、怪我けがで出ためたりするいやしの魔法も使えます。お医者様いしゃさまおおく使う魔法です」

「エクセレント!」


 生徒たちから拍手はくしゅが巻き起こった。ステラは恥ずかしそうに顔を赤らめたまま、せきすわりなおした。ロジャーは面白おもしろくなさそうに手をたたいている。


 ステラは長いあいだ、たきりだった。そんなステラを、おやの変わりに面倒めんどうをみてくれた医師いしルートヴィッヒは土属性魔法が得意だった。だからこそ、ステラは土属性の説明せつめい完璧かんぺきにしてみせたのだ。


「ステラさんの言ったとおりです。特に癒しの魔法が使える方は珍しく、お医者様として活躍かつやくしている方が多いのです」


 そこまでマーサ先生が説明せつめいし、チョークは黒板に文字を書きつづけている。


「ではもう一つ、質問いたしましょう。今説明した、火・水・風・土属性の魔法は四大属性よんだいまほうと呼ばれていますが、このほかにある二つの属性がわかる方はいますか?」


 誰も手を上げようとはしなかった。はずずかしそうに、ステラがおそるおそる手を上げる。


「はい、ステラさん」

「はい。それは、光属性ひかりぞくせい闇属性やみぞくせいです。光属性は、まぶしい光やあたたかい光を出す魔法です。闇属性は、かげやくらやみをあやつります。よるでも目が見えるようになったりします」

「エクセレント! さすがステラさんです」


 おおーっと、もう一度いちど声が上がった。生徒たちは拍手し、ステラはまた恥ずかしそうに座りなおした。となりのミミィもおどろいた表情ひょうじょうかべながら、ステラをほめた。


「ステラちゃん、すごいのね」

「そ、そんなことないです。光属性と闇属性は、教科書きょうかしょにのっていたから……」


 ミミィは何度なんどみこまれた、ステラの教科書を見つめた。ところどころ、かどがおられており、メモがいっぱい書かれている。


予習よしゅうしてきたのね。すごいわ」

勉強べんきょうたのしくて……」

「ステラはいつも楽しそうに、教科書を読んでいるぜ!」


 ブルーも胸を張った。お腹はでででででんとしている。そんなブルーを見ていると、ステラの恥ずかしさや緊張感きんちょうかんがほぐれていく。


「ステラさんのように、授業じゅぎょうの前に教科書を読んでおくと授業がわかりやすくなるでしょう。今日はここまでです」


 マーサ先生が教室から出たところで、生徒たちがステラのまわりにあつまってきた。みんな、目をかがやかせている。


「ステラさん、よくってるのね」

「ステラちゃん、立派りっぱだった!」


 なぜかブルーまでれたところで、ロジャーは面白おもしろくないといわんばかりに立ち上がった。そのままステラに近づくと、その読み込まれた教科書を手に取った。


「事前に教科書を読んでいただけじゃないか。カンニングだよ」

「カンニング?」

「こっそり本やメモを見てこたえることだよ。そんなこともらないのか」


 ロジャーはいやな笑みを浮かべながら、ステラに向かっていった。周りの生徒たちはロジャーをにらみつけている。


「でも、マーサ先生にかれたとき、ステラちゃんは教科書を見ながら言ったわけじゃなかったわ」

「全部覚えていたもの。それなら、さきに勉強していただけでしょう?」

「ロジャー様、自分がわからなかったからって、ステラさんに当たるのはよくないですよ」

「ワッツまで! だれ味方みかたなんだよ!」


 ロジャーはぷりぷり怒りながら、席へと戻っていった。ワッツはあわててロジャーのあとっていった。


―次回、おこったロジャーのとった行動こうどうは? つづく―

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