第3話 白波由羽の生態
「おーっ。スッゲーさすが由羽さん!」
「いやいやそれほどでも」
ししゃもくんがカット、ブロー終わりの髪の毛を鏡でまじまじと見つめている。
「マジで要望通りで、理想すぎてやばい。泣きそう」
「なんだよ泣きそうって。あと、もしよかったらコレ、新商品の洗い流さないトリートメントの試供品だから良ければ使って」
「いいんすかー? いつもありがとうございます。俺の神美容師さまさま」
ギューッと由羽の手を握るとそのままぶんぶんと上下に動かしてきた。
「じゃあまた、次回のアー写前に来るかもですー。今日はありがとうございました」
「はーい。気をつけて帰るんだよー」
ししゃもくんがお店を出るのを入口まで見送ってから、レジ締め作業に入る。今日はラストのお客様がししゃもくんだった。ししゃもくんは、都内を活動拠点とするメンズアイドルの
今日はスムーズにレジ締め作業を終えることができたため、スーパーに寄ってから帰ることにした。
「うーん。悩むなあ」
魚と肉、どちらも食べたい気分だったが、スタイル維持のために1つに選ばなければ。最終的にカツオのタタキを選んだ。20パーセントオフでお買い得だった。
マンションに帰宅すると、ふわーっと身体の力が抜けていく。やっとやっと待ちに待ったおうち時間。服を脱いで、シャワーを浴びて、半身浴を20分。化粧水と美容液、パックをしながらテレビでニュースを見る。
もう10月かあ。今年ってあと2ヶ月しかないんだな。あっというまだな。
冷凍していた白米を温めている間に肩のストレッチをする。美容師は身体が資本だと聞く。先輩からもストレッチは念入りにするようにと口酸っぱく言われていた。
白米とカツオのタタキを食べてから、いよいよお楽しみタイムに入る。ベッドに寝そべりながら、スマホを開く。「Sweet play」というモノクロのアイコンをタップした。
「あ、新作」
フォローしているエースくんの新作動画が配信されていた。ノイズキャンセリングイヤフォンを付け、わくわくと動画を開く。エースくんは俺にとって、たぶん、推し。
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