第9話

 広場には、顔のよく見えない大柄な男が数人、絡まれている少女が一人。何があったのかはよくわからないが、少女が被害者のように見える。助けたい、という感情が溢れ出る。走っていると少女が男に殴られそうになっている。


 やばい、このまま走っても絶対間に合わない。ええい。一か八かに賭けよう。


 「【タックルデプロイメント】【キャスト】【メタル】」


 一か八かで、釣り竿で少女をこちらに寄せて、守ろうとした。


 かかった


 針が上手くかかった、が重くてなかなか寄せられない。下から上じゃなくて、横移動だからなおさらだ。いきなり横から飛んできた針と糸に男たちは驚いて、こちらの方に振り向く。このチャンスしかない。そうだ、釣り上げるならあの能力が有効かもしれない。


 「【フィッシング】」


 序盤に手に入れたが、いうほど使い道が無かったこの能力。自動でリールがすごい速さで巻き上げられていく。あっという間にこちらに少女が引き寄せられた。


 「大丈夫だった?」


 僕が尋ねると


 「助けてくれてありがとうございます。急に絡まれて怖かったです」


 と少女は返した。僕が少女を逃すと、男たちは、邪魔すんな、割り込むな、などと言ってこちらに来た。

 やばい、助けたはいいがその後は考えてなかった。いや。でも大丈夫だろう。このスキルで人を助けられたんだ。他にも使えるのだろう。

 自分を言い聞かせて立ち向かう。


先手必勝!


 「【インビジブル】【ステルス】【キャスト】」


 見えず、気配もない針と糸に困惑する男たち。いきなり飛んできて引っ張られる。





 「まじか。がちでできるとは思わなかった」


 何分も経たないうちに制圧してしまった。今、男たちは硬度の上げられた釣り糸で縛られている。

 少しして、警察らしき人たちがその男たちを連れて行った。これで一件落着。釣り具を釣り以外で使うのはなんだか妙な気分だ。人を釣ったということでいいだろう。


 スキルページを開くと新たな能力が開放されていた。


 隠し能力【エクスパンション】


 「隠し能力? そんなものあるのか。さて、どんな能力だろう」


 【エクスパンション】全ての能力を釣り関連以外にも拡張して使用できる。

           常時発動


 「釣り関連以外にも使える? どういうことだ?」


 釣り具以外にも使えるってことは【インビジブル】で姿を消せたりするのか? わからないが、自分の姿を見えんなくなるのを想像して使ってみる。


 なんだか変化を感じない。そう思っていると鏡が目に映った。

 しかし、自分の姿は映らない。周りの人もここにいることに気づいていないようだ。


 そういうことね。これは便利そうだ。


 納得をして、アネットさんを探すのを再開した。













ここまで読んでくれてありがとうございます

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