第15話 夢じゃなかった

「あれ? ツバキくん? 来てたんだね」


「おう、タカヒロ。帰ってきたのか」


「タカヒロさん、おかえりなさい」


 ツバキくんと話をしていると、タカヒロさんが帰ってきた。あれ? ということは……。


「ツバキくんって、ぼくの夢じゃないの?」


「あはは、普通はそう思うよね。でも、ツバキくんはちゃんと存在しているよ」


「この神社には、わしの他にも色んなあやかしがおるぞ」


 ぼくの疑問にタカヒロさんは笑って答える。それに続いて、ツバキくんは自分以外にもあやかし……妖怪がいるという。


「妖怪って本当にいるんですね」


「今の時代、出会えることはめったにないからね。実は、昨日のうどんや今朝の焼き魚を作ってくれたのもあやかしなんだよ」


「え? そうなんですか!?」


「家事が得意な者も多いからのう」


 タカヒロさんの言葉に驚くぼく。だけど、ツバキくんは当然のように告げる。


「ショウくんがびっくりしないように少しずつ教えていこうと思ったんだけど、思っていたより大丈夫そうだね」


「いや、びっくりはしているんですけど、ツバキくんとは昨日から会っているので」


「当日から? ツバキくん、ちょっと待ってって言ったでしょ?」


 タカヒロさんは少し驚きながらツバキくんに注意する。ツバキくんは全然気にしていないようだったけれど。


「最初は夢の中からにしたんじゃぞ? でも、昨日の夜は泣いておったしなあ」


「え? そうなの?」


「わっ! ツバキくん、言わないで!」


 ツバキくんの言葉にタカヒロさんは驚き、ぼくも慌てる。寂しくて泣いていたなんて知られるのは恥ずかしい。


「ごめんね、気づいてあげられなくて」


「……いえ、ぼくは一人で寝るって言ったので」


 タカヒロさんは少し困ったような顔をしながらぼくの頭を撫でてくれる。心配させちゃったみたいだ。


「心配せんでも、わしがしっかり慰めておいたからの」


「それはありがとうね」


 得意げに言うツバキくんの頭もタカヒロさんは撫でていた。少し照れたようにはにかんでいるツバキくんがかわいい。


「それなら、これからはショウくんのことはツバキくんに任せても大丈夫かな?」


「もちろんじゃ。ショウに寂しい思いはさせんぞ」


 タカヒロさんの言葉にツバキくんは元気に答える。ぼくとしても、ツバキくんがいてくれると安心だ。一人だとどうしても余計なことを考えちゃうし、話し相手がいるのは嬉しい。


「それじゃあ、今日は三人でお昼ご飯を食べようか」


「おお、それは良いな」


「うん、楽しそう」


 家でもお昼はどうしても一人で食べることが多かったから、みんなで食べられるのは本当に嬉しかった。

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