怖い話 -The Numadu-StickmanNovel horrors-

沼津平成

第1話 * 夢のお告げ

 母方の親族が亡くなって、そろそろ半年が経つという夏の日。

 僕は家族と旅行に出ていた。その中に母もいた。ホテルに泊まったその日、僕は夢を見た。

 夢の舞台は、今寝ている旅館だ。布団にくるまる母を、母方の親族2人が引っ張っていた。仲良しの2人だった。

 そのうちの1人は、死んだはずのあの親族だった。

 2人はしばらく母を引っ張っていたが、やがて諦めたようにトボトボと帰っていった。

 同時に僕は起きた。


——母は、呼吸をしていた。


 もし、あのとき2人が母を引っ張って、ホテルの部屋から母を連れて出ていっていたら、と思うとゾクッとなって、帰り道はずっとそのことを考えていた。

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