第8話 夜食
ナベが夜食を用意してくれた。
「健康を考えて野菜を多めにしたよ。糖質は制限しています」
春雨スープだ。
低カロリーな夜食だけど、こっている。
わたしは部屋で春雨スープを頂く。
辛味を足して、わたしの口に合う。
うまい。
歯磨きを終えると、すぐに眠る。
ベッドは天蓋付き。
まあ、なんのためにあるのか分からないけどね。
翌朝になり、わたしは起き上がると、さっそく稽古に向かう。
「ほら。甘い!」
ジオの剣さばきはすさまじい。
わたしは木剣を振り直す。
「もっと腰に力をいれる」
「はい!」
「ふりが遅い!」
「はい!」
この剣技訓練だけは好きになれないなー。
だって目標もないし。それに今どき剣なんて。
魔法が使えれば、こんなの必要ないわけだし。
あーあ。早く終わらないかな。
足をくじかれる。
「何を考えていた?」
「え」
「心ここにあらず、といった様子だったぞ」
ジオは木剣をこちらに向ける。
瞳の奥にギラギラとした光を宿している。
「す、すみません。朝食のことを考えていました」
「ふん。そんな余裕ないだろ?」
「はい」
「それともこの訓練は嫌いか?」
「はい。……え!?」
「そんなことだろうと思ったよ。だがな、戦場で頼れるのは己の肉体と剣だけだ。覚えておけ」
なぜそんなことを言うのか、わたしには分からない。
「でも、」
ジオはぎろりと睨めつけてくる。
それに負けじと、目を鋭くする。
「でも魔法が使えれば問題ないでしょう? ジオだって魔法師ならわかるはずです」
「魔法が使えるからこそ、剣を大事にするのだよ。今は分からなくていい。身体で感術を覚えろ」
「どういう意味ですか?」
「言ったままの意味合いだ。知れ」
「……はい」
わたしは大人しく従うしかなかった。
「いやー。ずいぶん熱心だね」
レイクが中庭に訪れていた。
「そろそろ朝食にしよう」
レイクの提案にわたしは深くうなずく。
「王。ま、いいいけど……」
ジオは不服そうに言う。
王様は絶対なんだな、と思った。
「それで? 剣の腕前は?」
「他の者に比べればうまいですね。ただ本人のやる気が問題です」
ペラペラと状態を報告するジオ。
まあ目上の者だからしかたないのかな。
でもそんなに褒められるならもっと訓練するのに。
なんだよ、ジオの奴。
褒めるならさっさと褒めてよ。
「やる気、ないのかい? アヤメ」
「いえ、その……」
「ははは。いいよ。素直にいいな」
「じゃあ、遠慮なく。だって魔法があれば充分でしょう?」
「魔法はどこまで勉強したのさ?」
爽やかな笑みを零すレイク。
「ええと。マナの流れまでです」
「そっか。じゃあ、マナの量についてはまだだね」
おとがいに手を当てるレイク。
「ならアレンに伝えておくよ」
「さ。いくぞ」
ジオはそう言ってわたしを食堂につれていく。
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