推し活サークルの事件簿

竹間単

◆プロローグ


「やっぱり大学の思い出と言ったらサークルだな。推し活サークル」


「栞はサークル長だったんだっけ。すごいね」


「別にすごくはねえよ。各々が好き勝手にやりたいことをやる、まとまりのねえサークルだったからな」


「じゃあ、あんまり団結力は無い感じ?」


「それがさ、妙に団結してたんだよな。みんな、推しを愛する気持ちが分かるから、他のメンバーの推しを否定しねえからかもな」


「『推し』っていうのは、応援してるアイドルのことだよね? みんな別々のアイドルが好きだったの?」


「必ずしも推しが人間とは限らねえぜ。アニメキャラの場合もあれば、鉄道の場合もある。あたしの場合は文芸全般だな。好きなものなら、何でも推しになるんだ」


「推しって何でもアリなんだね」


「どんなものを好きになるかは人それぞれだからな」


「それで、その推しを応援する活動が、『推し活』なんだよね?」


「そうだぜ。推しのグッズを買ったり、イベントに行ったり、他人に布教したり。推しの会社の株を買うのもある意味では推し活かもな」


「へえ。推し活って、かなり広い意味で使われるんだね。好きなアイドルに会いに行くことだけを指すんだと思ってたよ」


「意外だな。もっと推し活について詳しいかと思ってたのに」


「僕は好きなことに熱中すると周りが見えなくなっちゃうタイプだから、流行りの話題に乗り遅れがちなんだ」


「周りが見えなくなるほど熱中するって、それ推し活じゃねえ?」


「……そっか! これが僕の推し活なんだね」


「推し活が仕事になってるなんて、すげえよ!」


「……それ、栞が言う? もしかして僕のことを褒める形を取った自画自賛?」


「あ、バレた?」


「自分に自信を持つのは良いことだけど……それで、その推し活サークルがどうかしたの?」


「いやあ、あたしたちの代が卒業して、どうなったかなと思ってさ。サークル長と連絡は取ってるけど。トラブルが起こってたりはしねえかな」


「トラブルが起こりがちなサークルだったんだ?」


「そうなんだよ。みんないいやつなのに、なぜかトラブルが起こるんだよな、あのサークル。あたしが所属してるときも、いろいろあったぜ」


「サークルが心配?」


「いや、そうでもねえよ。本当にヤバかったらあたしのところに相談に来るだろうし。それに、なんだかんだトラブルを解決するのも、推し活サークルの特徴だからな」






――――――――――――――――――――


ここまでお読みくださりありがとうございます。

はじめまして、もしくはお久しぶりです。竹間単と申します。


この作品は、推し活サークルに所属する個性豊かな面々が織りなす日常の謎ミステリーです。

全四章+αで構成されていて、各章ごとに事件が起こります。

事件だらけの彼らの大学生活を、ぜひお楽しみください!


完結まで一日二話ずつ更新する予定です。

(区切り方によっては途中から一話更新になるかもですが)


もしよろしければフォローやイイネ、☆評価を頂けると励みになります^^

よろしくお願いします!


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