第8話 魔道具の修理、始めました!
とある日の朝。
アイクはいつもより早く起きて、開店の準備をしていた。
開店の準備と言っても、普段は魔道具を商品棚に並べるといったくらいなのだが、今日は違う。
実は今日から魔道具の修理を店のサービスとして始めるのだ。
以前お客さんから要望があり、それがあまりに多かったので、始めることになってしまったのだ。
なってしまったというのはアイクが魔道具の修理をしたくなかったからだ。
これは別にアイクが魔道具の修理をできないからというわけではない。理由は他にある。
それは魔道具の修理は致命的なまでに稼げないということだ。
なぜ稼げないのか。
まず、魔道具の修理の料金は安い。
もし高いと、じゃあ新しいやつ買えばいいじゃんとなってしまうため、これは仕方がないだろう。
後シンプルに修理をするのが面倒なのだ。
アイク的には、修理をするより新しく作った方が楽なのだ。
他にも修理をしてしまうと、新しい魔道具を買う人が少なくなってしまうだろう。
修理をするということはその魔道具を長く使ってもらうということであり、日常的に使う魔道具は買い換えの頻度が高いのだが、それが低くなってしまう。
アイクの修理の技術は無駄に高く、修理後の魔道具は新品と同じくらい使えてしまう。
これら諸々の理由から、アイクは魔道具の修理をやりたくなかったのだが、しぶしぶと言った感じで始めることにした。
それに魔道具の修理では稼げないが、店の利益に関しては、冒険者用の魔道具が大半を占めている。どこかの誰かさんのせいで…。
さすがに魔法剣などの修理はする気がなく、あくまで普段使いをする魔道具のみと言った感じだ。
それでも魔道具の修理は面倒だ。
アイクはため息をつきながら修理のための器具を整えていく。
開店時間。
今日の冒険者の数は以前に比べると少なく(それでも多いのだが)、ギルドと契約しておいてよかったなと思う。
しばらくは普通に接客をしていた、というよりできていたアイクだったが、当然、始めると告知していたのだからこういうお客さんも来るだろう。
「すみません。実は魔道具の修理をしてもらいたいんですけど」
「はい。どの魔道具ですか?」
アイクはだるさを隠しつつ話しかけてきた主婦らしき人に尋ねる。
「この浄水コップ十個をやってほしいです」
「はい。お値段1000エンになります」
「わあ、安いですね。これならもっと持ってくればよかったかしら」
頼むからやめてくれと願いつつ、修理を始める。
結局、この日は魔道具を100個以上修理することになってしまった。
(今度ベルに魔道具の修理を教えてみよっかな)
アイクが見たところ、ベルは魔道具が好きそうだ。
研究室を見せてほしいと言われたことがあり、その時の様子からそう思ったのだ。
教えたら店でもやってくれるかもしれない。
(でも教えるのも面倒だな)
などと考える怠惰なアイクだった。
閉店後の夕食の時、アイクはベルに尋ねる。
「ベル、今日から魔道具の修理を始めただろ。それでベルも今度やってみないか?」
魔道具を修理する面倒と教える面倒。
アイクは教える方をとったのだ。
「本当ですか?私、やってみたいです」
「じゃあ明日は休みだしその時にやろっか」
「はい。実は私もアイクさんみたいに魔道具が作れたらなって思ってたんです。」
「いつかベルが作った魔道具を店に置いてみたいね」
案外ベルが乗り気だったので安心したアイクだった。
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