第十話『液体!? 茶店stolen』

 時はさかのぼること、12月24日、23時54分。


 茶店サテンマゼンタにて。


\チリンチリン/

 ドアベルの音。


「誰だぁ? 今日はもう閉店だって言ってんだろ!」

 ちょっと、おこ、なマスター。


 ゾロゾロと雪崩なだれ込んできたのは……


 赤い悪魔レッド・アクーマーたち(※マスターは同定アイデンティファイしていない)。


「血ヲクレ!」

「子ドモの血ィ!」

「オッ! 赤イ液体ガアル! コイツハ子ドモノ血ニ血ニ血血血乳ガイネー!」

 わけのわからないことを、言っている。


「んだ? こいつらアホか?」


\チャリンチャリン♪/

 ベルでない金目カネメの音。


 赤い悪魔レッド・アクーマーの一体が、手のひらの上で、どこぞやの金貨をチャリチャリさせる。


「ほぉ、かねはあるんだな、まぁ大口顧客おおぐちこきゃくってことなら、相手してやろう」


「血ヲクレ!」

 と、金貨持ちの赤い悪魔レッド・アクーマー


「んだよ、血? はて、なんのことだか……あ! トマト汁入りビールレッドアイのことか! オーケー、お前らあの編隊飛行ヘンタイサンタクロースの二人組と一緒で、あんなのが好きなのか! 物好きだなぁ、今入れてやるからよ、何名様?」

 マスターは、そのように独自の解釈をする。


「ナンメイサマ? ナンダソレハ!? ワレワレノアルジハ、大魔神サタン様ダガ!」


「はぁ? LOVEマシーンサナたん? なぁに言ってやがる? まあいい。ここにあるピッチャー、十何個、あるからよ、これに入れてやるからよぉ……あとは適当に分けてくれい」


 そうしてマスターが、まぁまぁ炭酸シュワっている赤い液体レッドアイを大量調合すると……


 赤い悪魔レッド・アクーマーたちは、ごくごく常識的に金貨を払って、

「アリガトヨ! 案外ガガガイガイガガイガガイラクニ手ニハイッタナ……」

 とつべこべ言って、大量の赤い液体レッドアイを持ち去って行った。


「うーす、毎度ありい! さ、今度こそ閉店しますよっと……」


 時刻は、12時を少し過ぎようとしていた。

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