第114話 悪者は揺るがない



ワルモーンは、相手が納得したと思いそのまま進もうとしたら、

案の定、足元に矢が刺さり威嚇される。


「納得したのではないのか?」


「あのな~言い分が理解できるからと言って我ら森人の役目が変わるわけではない!」


「頑固だな、もう少し柔らかで柔軟に考えないと剥げるぞ」


「失礼な!今度は私個人侮辱に挿げ替えたか!蛮族め」


「ならば隠れてないで出てこい!貴様とオレとの一騎打ちでここを通れるかどうかを決めようじゃないか」


「よかろう、貴様のような礼儀を知らぬ蛮族などここで身の程を教えてやる!」

と、いうと一人の森人の青年が降り立つ。


やはり森人(エルフ)はイケメンだった。

切れ長で金髪、白い透き通る肌。

シュッとして王子様のようないで立ち。




だが、そんな姿を見ても

やり取りを見ていたワルモーン以外の者たちは

「見事に乗せられたわね」

シンラーツが言うと


「そうですね、先生。単純な売り言葉に買い言葉になってました」

感心するように答えるセメット。


「しかし、単純だね。長命種なんだからもっとこううまく対話できんのかね。

オレでもあそこまできれいに乗らんぞ」

ルトランすら呆れ気味に言うと


「一族総出で引きこもってますからね。この手の煽りには弱いのかもしれません」

リーレが答えると


「がうっ」

と、蒼月まで同意するような返事をする。


せっかく出てきたイケメンに対する評価が低くなっていた。

見た目がいいのにワルモーンとの掛け合いで台無しである。

登場エピソードも軽く流されてしまった。


勿論、彼らはもっと大惨事を予想していたので、この状況は割と安心できる状況ともいえる。


いいのか?それで。

なんて思いながら話は進む。


ワルモーンにしては、割と冷静に対処しているようだ。

と、皆が感心していた。


「これは、貴様の仕来りと伝統を守る為、オレは悪としての信念を貫く為。

いざ尋常に勝負!!」

と、ワルモーンはのりのりで語る。


その言葉に一行は、深くため息を付いた。

やはりワルモーンはどこまで行ってもワルモーンであると。



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