お前、モテないだろ そのほか二作
ぼっちマック競技勢 KKG所属
くだらねぇ
私は友人の家にやって来ていた。
私と友人はその時昼食をとっていた。先ほどまで行っていたお祭りで、大量に買い込んだ食品を何から食べようか思案している時、テレビからは取りとめもないニュースが流れる。
よくある地方番組だ。なんでもサッカーの選手が地元の幼稚園で読み聞かせ会を開いたらしい。名前も知らない無精髭のおじさんが本を語り聞かせる画像が流れる。そして、おじさんはめっちゃ噛んでいた。
「こ、こうして、校長先生のズラはうぢゅ、えー宇宙人に取られてしまったのでした。お、おしまい」
(訳 こうして、校長先生のズラは宇宙人に取られてしまったのでした。おしまい)
なんだその面白そうな話は!噛みまくりのおじさんに気を取られていたら、面白そうな絵本の話を聞き逃してしまった。というかそれは幼稚園児に読み聞かせて良い本なのだろうか。
向かいの席に座る友人は無言かつ真顔のままテレビを見ていた。そんなに面白くなかったのか?校長のズラの話。面白そうだったけど。
じっと注視していると彼はこちらを見返してきた。無言かつ真顔のまま。え、なに。怖いんだけど。なんか顔についてる?そしたら彼はこういうのだった。
「ねぇ。くだらねぇとおもわないか?こういうの」
「どこが?俺が見る限りめっちゃおもしろうそうだったけど」
「違う違う。校長のズラの話はもちろん面白かったよ。そうじゃなくて、ネタの方だよ」
お前の顔は全然面白そうじゃなかったけどな。
「別にいい話じゃんか。サッカー選手が人気集めんせっせと勤しんでんだろ。無視しとけ。それよりも絵本の話を聞かせろ。どんな中身だったんだ」
「それがな、〇〇小学校の校長が宇宙でハーレムを築いた後に宇宙人と戦うって話でな...」
うん。どんな話だよ。それ。
幼稚園児に読み聞かせていいのか?
▲
俺たちが無精髭おじさんの話題から離れ始めた頃、次のネタが流れる。
「次のニュースです。〇〇市の△△幼稚園で、昨日餅つき体験会が行われました」
まだ12月24だけどな。世間は正月よりクリスマスだぞ?
そんな時、彼はこういった。
「くだらねぇ」
「どこが?」
「こういうニュースをやってるこの番組がだ」
「なんだよお前。冷めたこと言っちゃって。幼稚園児が健気に餅をつく姿が可愛いじゃねぇか」
「まぁそうなんだけどさ。だってほら見て。ずっとおんなじところついてるぞ。ひっくり返してない」
「あのなぁ...」
そういう粗探しやめとけ。お前モテないだろ。
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