【異世界】光と影の継承者たち

森康雄

【1】エレクトラと秘密の魔法王国の冒険

第一章 古い地図の発見

 エレクトラが祖父の家の屋根裏を探検していたある日、ひっそりとした隅に放置されていた古い箱を見つけた。箱の蓋を開けると、その中からほこりっぽい地図が現れた。地図は黄ばんでいて、辺りには古い紙の匂いが漂っていた。


「これはなんだろう?」エレクトラは地図を広げてみた。地図には複雑な道と、色とりどりの不思議な印が描かれていた。


 その時、彼の祖父が屋根裏に入ってきた。「ああ、それは私が若い頃に見つけた特別な地図だよ。それは魔法の王国への地図さ」と祖父は言った。


「魔法の王国?」エレクトラは目を輝かせた。


「ええ、本当の話だよ。でも、その王国は特別な人にしか見えないんだ。」祖父は優しく笑いながら言った。


 エレクトラはわくわくしながらも少し不安そうに祖父を見上げた。「ぼくにも見えるかな?」


「もちろんだ。ただし、真の冒険者でなければならない。地図は完全ではないから、残りの部分を見つける旅に出なければならないんだ」と祖父は説明した。


 エレクトラは地図を手に取り、自分も真の冒険者になれるかもしれないと心から願った。そして、その小さな地図が彼の大きな冒険の始まりであることを知った。


「ぼく、やってみるよ!魔法の王国を探してみる!」エレクトラは決意を固め、祖父に向かって宣言した。


 祖父は嬉しそうに頷き、「それは素晴らしい冒険になるだろう。この地図が君を導いてくれるさ」と言って、エレクトラの肩を優しく叩いた。


 この日、エレクトラの心には新たな興奮と冒険への憧れが生まれた。彼は知らないうちに、自分自身の限界を超えて成長することを求める旅に一歩を踏み出していたのだった。


 エレクトラは魔法の王国を目指す冒険に出ることを決心した日、夕暮れ時に自分の部屋で荷造りを始めた。彼の部屋は小さく、木製の家具がいくつかあり、窓からは村の広がりが見えた。


「エレクトラ、本当に行くの?」彼の母が心配そうに部屋に入ってきて、息子の荷物を見つめた。


「うん、行くよ、ママ。魔法の王国を見つけにね!」エレクトラは元気よく答えたが、母の顔には不安が浮かんでいた。


「でも、危険じゃない? こんなに遠くへ一人で…」母はそっとエレクトラの手を取り、温かく握った。


 エレクトラは母の手を握り返し、「大丈夫だよ。祖父さんが言ってた。この杖がぼくを守ってくれるって。」彼は古い杖を指差し、決意を新たにした。


「それに、ぼく、何か大きなことを成し遂げたいんだ。自分で見つけたいんだ、ぼくにしかできない何かを。」エレクトラの目は夢中で輝いていた。


 母は息子の熱意を感じ取り、少し涙ぐみながら「わかったわ。でも、気をつけて。いつでも家に帰っておいで」と優しく言葉をかけた。


「ありがとう、ママ。約束するよ、安全に気をつけるから。」エレクトラは母に抱きつき、その場を離れて荷物の準備を続けた。


 その夜、エレクトラは村の見える窓辺に座り、星空を眺めながら冒険に思いを馳せた。彼は自分がただの村の少年であることを知りつつも、未知の世界への期待で心が躍っていた。


「ぼくはできる、きっとできる。」エレクトラは自分自身に言い聞かせ、魔法の王国への旅路への出発を心待ちにしていた。彼の冒険への決意は固く、もう誰にも止められないほどになっていた。

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