第7話 社畜は思った!こいつら化け物だ!

「さぁ! 行きますよ! この施設の最強が!!」


 と、小林は威勢よく叫んだ。


 俺はスライムやスケルトンが登場した扉を見つめたが、何者も出てくる気配がなかった。


「一体どこを見つめているのですか? 最強がいるのですよ? そんな馬鹿面で立ち尽くしていたら一瞬で死にますよ」


 小林はからかう様に俺に向かって言ってきたが……


 どこにいるんだ? 最強?


「はぁ……所詮、駆け出しの冒険者ですか。あなたの使い魔は理解しているみたいですがね」


 と言われて俺はスライムとスケルトンに視線を向けると、こいつらは小林に向かって身構えていた。


「キュキュッッキュ(マスター!こいつ今まで闘気を隠していたみたいです! すごい殺気です!)」


「カタカタッッカタカカ(ああ。こいつは普通の冒険者のレベルじゃねぇ。本気を出さないと消し炭になるレベルだ)」


 ……ん? 何を言っているだ⁇ こいつら。こいつら小林の事を言っているのか?


 俺には小林が涼しい顔をして口角を上げている様にしか見えないのだが?


 第一、あんな細い体で事務屋みたいな奴が強いわけないだろ。普通。


「カタカカカカタカカカ(こいつは俺も本気を出さないといけないみたいだな!)」


「キュッッキュッッキュ(なんだ、お前も本気出せるんだ。てっきり君がただのスケルトンで足手まといになるかと思っていたよ)」


「カタカカカカタカカ(舐めるなよ! 良く俺の本気を見ていろ!)」


 と、スケルトンは言うと


 スケルトンを纏っていた漆黒のオーラが徐々に形作っていた。


 オーラは次第に漆黒の剣となり、盾となり鎧となった。


「まさか、ただのスケルトンと思っていましたが、スケルトンの上位種族


暗黒騎士(ダークナイト)スケルトン


だったとは。まさか、そんな貴重なサンプルが手元にあったとは盲点でした」


 と、殊更に楽しむ様に小林が語ったが俺には何が何やらサッパリわからない。


「カタカカカカタカカ(当たり前だろ!ここで変に目立つと何をされるかわかったもんじゃねぇ!)」


「キュッッキュッッキュキュ(それじゃあ、僕も本気出すよ!!)」


 スライムはプルプルと震えると急に七色に輝き出した。


 しばらく、スライムは眩しいばかりに輝いていた。そして段々輝きが落ち着くと、そこには煌々に光を放つスライムがそこにいた。


「今度は今度でスライムの最上位種族


魔術師(ミラクル)スライム


ですか? 揃いも揃って人を騙す狡猾なモンスター達ですね……


 こんな貴重なサンプル達なら今後の最前線の冒険者為の実験材料にピッタリなんですがね」


 と、小林はしばらく歪にニヤけると


「では、私も少し本気を出しますか」


 小林はネクタイとジャケットと革靴を脱いで放り投げ、眼鏡をスラックスの後ろポケットにしまった。


 そして、まるでカンフー映画の様に構えると大きな声で


「破」


 と叫んだ。


 それはただの気合いかもしれないが、ど素人の俺ですらわかる覇気を感じた。


「さぁ、いいですよ。先手はそちらに譲ります。どこからでもかかってきなさい」


 あからさまにこの戦闘を楽しんでいるのは、見え見えだった。


 小林……こいつは、一体何者なんだ?


「キュッッキュッッキュキュ(マスター、戦闘開始してもよろしいでしょうか?)」


 俺はあまりにも規格外の連続で我を失ったいたが、正気に戻って


「お前たちの力が知りたい! 思う存分戦え!」


「「キュ カタ(了解)」」


 全面に立っていたスケルトンはふっと横に下がると、その瞬間影になっていたスライムが前線に出て小林に向かって


「キュキュッッ(アシッドショット)」


 とスライムは、体から拳大の弾丸を放った!


 普通の人なら直撃だが小林は苦もなくかわした。それもそれで驚きだが、何より当たった床は抉られる様に溶けていた。


 あんなもん当たったら病院送りだぞ!


「攻撃が直線なのはいけません。すぐに躱されますよ! もっと……」


「カタカカカカタ(後ろがお留守だぜ)」


 とスケルトンはいつの間にか、小林の背後から剣を下ろそうとしていた。


「初めてパーティーを組んでこの攻撃は素晴らしい! しかし!!」


 と、小林は両手を横に水平に伸ばして


「滅」


 と言った瞬間、目に見えない強烈な衝撃波で俺たちは激しく壁に叩きつけられた。


「カタカカ(な? 何なんだこいつ?)」


「キューキ(くそぅ、僕がこんな奴に……あ!)」


 スライムとスケルトンは、俺に向かって絶望した様な視線を送っていた。


 そんなに酷い怪我はしてないぞ!


 確かに頭を打ったが、多少ズキズキするだけだ。


「チェックメイトです」


 俺は頭上から小林の声が聞こえてきたので何事かと視線を向けると……


 小林の手刀が俺の頭に向けて寸止めしていた。


「いいですか?魔獣使いの弱点は本人そのものだと言う事です。どんなに強いモンスターを引き連れてもマスターがやられるとゲームオーバーであると言う事です。これが陰湿で狡猾なデーモンとかならよくやる手なので覚えておいてください」


 と、化け物こと小林は諭す様に語った。


「それでもなかなかいいパーティでした」


「そもそも、あんた普通の人じゃねぇだろ!」


 と俺は語気を荒げて小林に問い詰めると


「それはそうです。元々私は……」


 こいつの口からとんでもない言葉が飛び出てくるとはその時、俺は思ってもなかった。

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