第42話 サムライ、日ノ本の実りを祝う

 日ノ本ワールドの改築と修練に明け暮れた一週間。

 宗介たちは、ついにその日を迎えた。


 屋敷の前に広がる黄金色の田んぼは、たわわに実った稲穂が風に揺れ、収穫の時を告げている。

 宗介とカスミはその景色を誇らしげに眺めていた。


《これはガチで映えるな》

《こういう景色見ると和む~》

《稲穂の波、風情あって良いね》


 後から来たハンゾウが目を剥いて声を上げた。


「本当に7日で成長するとは……! 夢でも見ているのか?」

「間違いなく現し世だぞ」

「……稲作の常識が崩れるな」


《まぁ、数か月待ってられんし》

《これも企業努力よな》

《黄金の田んぼがめっちゃ綺麗……!》


 宗介たちは早速収穫作業に取り掛かる。

 グリモアが用意した小型収穫機が田んぼに入り、稲を手際よく刈り取っていく。

 脱穀、精米までの作業も機械化されており、あっという間に白く輝く米が用意された。


 しかし、ハンゾウは渋い顔をして腕を組む。


「主、これでは風情も何もないではないか」

「そう言うな、ハンゾウ。これが最善の方法なのだ」


{この方法なら品質を保ちながら無駄なく収穫できます。時間と労力を節約できるのは重要ですよ}

「品質……。確かに帝に献上するような色合いではある」


《ハンゾウ、渋々納得してるw》

《現代技術の力ww》

《ソースケの配信、教育配信もできんのか》


 一方、カスミは畑で丹精込めて育てた大豆を収穫していた。

 彼女は収穫した豆を嬉しそうに抱えながら、宗介たちのもとに駆け寄る。


「宗様、これで味噌を作りましょう!」

「味噌か……いいな。手伝わせてもらおう」


 味噌作りの作業が始まる。

 煮た大豆を潰し、塩と麹を混ぜ込む。

 ハンゾウが力強く潰す姿に、視聴者リスナーが沸き立つ。


御意ぎょいニンの作業、迫力あるなww》

《職人っぽい!》

《これ、どうやって発酵させるの!?》


 宗介も疑問に思ったところで、グリモアがふりかけ型の発酵促進アイテムを取り出し、カスミが驚いた声を上げる。


「これを使えば、お味噌ができるんですか……?」

{はい、発酵の過程を数時間で終わらせます}


 ふりかけを使用すると、香り高い味噌が短時間で完成した。


「わぁっ~! これなら、醤油だって作れそうですね……!」

「醤油だと? 初めて聞くな。だが、まずはこの味噌を試そう」


 味噌を使ったおにぎりや味噌玉を作り、グリモアの提案でイベントを企画することに。


『日ノ本ワールド味覚フェス』と名付けられたこのイベントは、宗介の配信仲間や視聴者リスナーたちが直接参加できるものとして計画されている。


「グリモア、視聴者リスナーの招待方法はどうするのだ?」

{ランダムな抽選で選びます。ただし、収益を見込んで抽選権を課金で購入してもらう形も考えています}

「課金で?」


 宗介は腕を組み、考え込むように眉を寄せた。

 グリモアは軽い調子で説明を続ける。


{日ノ本ワールドの拡張や設備維持には収益が不可欠です。投げ銭などで支援してくださる方には、それ相応の見返りを提供すべきかと……}


《グリモア、金稼ぎの鬼w》

《収益大事だけど、どうするんだろ》

《視聴者心理を完全に読んでるw》


 宗介はしばらく考えた後、静かに首を振った。


「確かに収益も大事だが……それ以上に、日ノ本ワールドは視聴者リスナーあってのものだ。彼らがいるからこそ、この日ノ本ワールドは成り立っている。無料で招き感謝を形にして伝えるべきだ」


 宗介の言葉を聞き、ハンゾウが低く呟いた。


「さすがは主だ。俺の見識の狭さを恥じる。主の判断、御意ぎょいにござる」


 カスミも笑みを浮かべながら頷く。


「やっぱり宗様は信頼できますね! 視聴者リスナーも喜ぶと思います」


御意ぎょいニンのござるww》

《なんか家事リーダーキャラ付けしてきてて草》

《カスミちゃんかわええ~》

《皆の信頼感がいいね》


{……さすが宗介様ですね。視聴者リスナーへの思いやりが、このワールドを特別なものにしていると改めて感じました。おもてなしの精神を最優先に運営いたします}

「よし、それでこそだ。あと、視聴者リスナーに豪華な体験を提供するために趣向を凝らしてみよう」


 宗介は少し笑みを浮かべながら続けた。


「希望者には俺が直接剣術を指南する。この機会を通じて、技だけではなく、日ノ本の武士道の心も伝えたい。視聴者リスナーの皆にも、その精神が届くような場にするつもりだ」


《ソースケやっぱりいいわぁ……》

《これぞ日ノ本のサムライ……》

《配信と直接参加の両立は有能すぎ》

《無料抽選とか優しすぎだろw》

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