第7話 サムライ、刀を治す
薄曇りの空の下、宗介とグリモアは重厚な木製扉を前に立っていた。
扉に刻まれた複雑な模様は、風化しながらも力強い職人の技を伝えている。
グリモアが軽く浮かびながら促した。
{ここです、宗介様。名匠ボルムの鍛冶工房。修繕を依頼するにはこれ以上の場所はありません}
「……妙な造りだな」
宗介は首をかしげたが、扉の向こうに宿る気配に目を細めた。
扉を押し開けると、内側から熱気が押し寄せた。
鉄を叩く甲高い音が規則正しく響き、焦げた油の匂いが漂う。
宗介の視線が工房の奥へと吸い寄せられる。
小柄だが筋骨隆々の男が、巨大な鉄槌を軽々と振り下ろしていた。
その動きには無駄がなく、目の前の鉄塊が剣の原型へと変わっていく。
「良き……」
宗介が思わず漏らしたその瞬間、男が顔を上げた。
「なんだ、珍しい客だな」
男は汗を拭いながら宗介に近づいてきた。
肩幅の広い体、赤銅色の髭、そして目に宿る強い光。
「……刀か」
宗介が抱える
まるで赤子を抱くように優しく、刀をじっくり観察する。
「ふむ……よく手入れされているな。この刀、お前に大事にされてきたのがわかる」
男の低い声に、宗介の目が僅かに揺れた。
《さすがボルムさん、名匠の目利きだわ》
《刀の背景を見抜くのエモい……》
《宗介の侍魂、伝わるな!》
男は
「俺は工匠ボルム。お前は?」
「侍の宗介だ」
「サムライか……修繕するには相当な技術と手間がいる。それでも使い続ける覚悟はあるのか?」
宗介は短く息をつき、刃に映る自分の顔を見つめた。
グリモアが宗介に近づいて耳打ちするように囁く。
{宗介様、ここでしっかりと決意を示すのです}
「……わかっている」
宗介は腰を折り、深々と礼をした。
「頼む。この刀は俺にとって……命だ」
その仕草を見たボルムの口元が、わずかにほころんだ。
「よし、お前の刀を蘇らせる。ただし――お前も一緒に叩け」
ボルムの言葉に、宗介は驚いた表情を見せる。
「俺が刀を打つだと?」
「当たり前だ。この刀はただの鉄の塊じゃねえ。お前の魂を込める器だ」
ボルムが鉄槌を宗介に差し出すと、視聴者のコメントが一気に流れ始めた。
《ソースケが刀を打つ!? 熱い展開きた!!》
《これは神回の予感w》
《ドワーフおじさんの鍛冶場が最高すぎる》
ボルムが炉から取り出した真っ赤に焼けた刀身を金床に置く。
「まずは全力で叩いてみろ」
宗介は鉄槌を振り上げ、力任せに叩きつけた。
その瞬間、鋭い音と共に火花が舞い散った。
「悪くないが甘いな。よく見てろ」
ボルムが手本を見せるように鉄槌を振り下ろし始めた。
その音に合わせて、宗介も叩き続ける。
《宗介、ぎこちないww》
《初めてにしては良い感じじゃね?》
《自分の武器を打つサムライってエモい……》
汗が滴る中、宗介は必死に鉄槌を振り続けた。
「サムライ! 刀を打つのは、お前自身を鍛えることでもあるんだ。もっと魂を込めろ!」
宗介は目の前の鉄塊が徐々に刃の形を取り戻していくのを見つめながら、ボルムの言葉を噛みしめた。
折れた刀は、自分自身――それを再び形作るのは、自らの手しかない。
「いいぞ、その調子だ」
《ソースケ、カッコいい!!》
《がんばれがんばれソースケ!》
火花の中、宗介の表情には決意が宿り始めていた。
鉄塊が徐々に美しい刃の形を取り戻していく。
「お前、意外と筋がいいな」
「ふん……」
ボルムの言葉に、宗介が小さく笑みを浮かべた。
「こいつもまた、お前の魂を宿した名刀になるだろうよ」
宗介は汗だくのまま鉄槌を置き、
まだ完全ではないが、確かに命を吹き返しつつある姿。
《鍛冶配信で初めて魅入ってるわ……》
《刀を叩く姿がカッコ良すぎる》
《ボルムさんとの師弟感エモい……》
ボルムが鍛冶場の火を弱めながら言った。
「残りの仕上げは俺に任せろ。お前は次に進め、サムライ。1週間後に取りに来い」
宗介は無言で頷き、
「今度は俺自身が、強くなる番だ……!」
{脇差だけでは
《リザルト》
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