第四章 奇妙な現象

 数日後のある朝、けものフレンズ学園の図書室で奇妙な現象が発生しました。通常は静かで落ち着いた場所である図書室から、突然本が勝手に飛び出すという不思議な事件が起こりました。


 生徒たちはその光景に驚き、図書室の周囲に集まり始めました。かばんとサーバルもこの現象を聞きつけ、すぐに駆けつけました。「何が起こっているんだろう?」サーバルが不思議そうにかばんに尋ねました。


 かばんは冷静に状況を観察し、ラッキービーストに助けを求めました。「ラッキービースト、図書室のセキュリティシステムをチェックして。何か異常があったかもしれないね。」


 ラッキービーストは、すぐに図書室のシステムを分析し始め、その間、かばんとサーバルは図書室内をさらに詳しく調べました。本が飛び出す現象は特定の棚に限られていることが分かり、二人はその棚の本を一つ一つ手に取って調べました。


 調査を進めるうちに、奥の方の隅に隠れていたツチノコを発見しました。ツチノコは人見知りが強く、普段は他のフレンズとあまり接触しませんが、図書室で彼が何をしていたのかが気になりました。


 かばんがそっと近づき、「ツチノコ、大丈夫? ここで何をしていたの?」と優しく声をかけました。


 ツチノコは少し驚いた様子で、しかし安心した声で答えました。「あ、ごめんなさい。古代文明について調べていたんだ。興奮してしまって、つい本を動かしすぎたみたい。」


 かばんはツチノコの話を聞き、彼の探求心を理解しました。「それはとても興味深いね。でも、次からはもう少し静かにできるかな?」と笑顔で提案しました。


 ツチノコも笑い、「うん、気をつけるよ」と約束しました。この小さな事件は、かばんとツチノコの間に新たな友情の芽生えをもたらし、図書室の謎も無事に解決しました。


 学園のフレンズたちもこの解決を聞き、ツチノコの探求心を称賛するようになりました。かばんとサーバルの調査能力も再び証明され、図書室は再び平和な学びの場となったのです。


 図書室の事件が解決した後、かばんとサーバルはツチノコに興味を持ち、彼の研究活動をもっと支援することにしました。ツチノコは古代文明に関する研究をしているということで、その話をもっと詳しく聞くために彼を訪ねることになりました。


 ツチノコは自分の研究室である静かな角を案内してくれました。そこにはたくさんの古い書物や地図が並べられており、壁一面には彼がこれまでに集めた情報が整理されて展示されていました。


 かばんが興味深くその展示物を眺めながら、「ツチノコ、これらの古文書はどこで見つけたの?」と尋ねました。


 ツチノコは嬉しそうに答えました。「これらはね、学園の近くの古い遺跡で見つけたんだ。そこはまだあまり調査されていない場所で、僕が独自に研究しているんだ。」


 サーバルも話に加わり、「すごいね! こんなにたくさんの情報を一人で集めたなんて。でも、危なくない?」と心配そうに聞きました。


 ツチノコは少し笑って、「大丈夫、僕はいつも気をつけているから。でも、もしもの時は助けてくれると嬉しいな」と答えました。


 かばんは、ツチノコの研究に感心し、彼の探求心が図書室の事件を起こした原因だと理解しましたが、その情熱を大切にすることが重要だと感じました。「ツチノコ、これからも安全に気をつけて、研究を続けてね。私たちも何か手伝えることがあったら言ってください」と約束しました。


 この日の出来事で、かばんとツチノコは特別な信頼関係を築くことができ、ツチノコの研究が今後の学園生活に新たな刺激となりました。ツチノコも友達ができたことで、以前よりももっと自信を持って研究に取り組むことができるようになったのです。

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