「信頼を紡ぐ物流場の挑戦」

アクティー

第1話:転機

「山田さん、顧客から『配送の遅延が続いている』とクレームが入りました。早急に対策を求められています。」

そんな彼のもとに、ある朝、1通のメールが届いた。

それは彼のキャリアを大きく変えるきっかけとなるものだった。


山田拓也(38歳)は大手商社に勤め、冷静かつ実直な性格で知られる物流部門の管理責任者だ。


この商社は、国内外に広がる大規模なネットワークを持ち、製品の輸出入や流通に特化して、特に物流業務を中心としたサプライチェーンの効率化と顧客サービスの向上に力を入れており、業界では信頼と実績のある存在として知られている。


入社以来、山田は現場とデスクワークの両方を経験し、課題を正面から捉え、地道に解決策を探る姿勢を貫いて、部門内で圧倒的な信頼を得ている。

家庭では2人の子どもの父親であり、家族との時間を大切にする一方で、仕事に対しては常に全力を尽くす努力家だ。


メールの送信者は営業部の若手社員、佐藤真奈美だった。

彼女は真面目で行動力のある社員で、営業部内では「顧客の声に最も寄り添う人」として知られていた。

特に、物流に関する問題には敏感で、現場にも足を運び、必要な情報を迅速に収集することを常としていた。

今回もクライアントからの苦情を受け、彼女は早速現場の状況を詳しく調べ上げていた。


「またか……。」

山田は深いため息をついた。

これで3週間連続のクレームだ。

顧客の信頼を損なえば、大口契約の更新が危うくなる。


すぐに佐藤と打ち合わせをして状況をさらに詳しく聞いた。

「佐藤さん、現場の具体的な問題点は何だと言っていますか?」


佐藤は眉間にしわを寄せながらタブレットを見つめた。

「倉庫からの出荷が遅れているんです。トラックへの積み込み作業もそれに合わせる形なので、全体のスケジュールが崩れています。」


山田は少しだけ考え込んだ後、力強くうなずいた。

「分かりました。午後に営業部と委託先の物流会社の責任者を集めます。この問題を根本から解決しましょう。」

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