第5話 黒と石

---あれから三日経った。何処までも続く川に変化はないが小動物を見かけることが増えた。中でもリスとモモンガの中間っぽいやつとカワガラスっぽいやつをよく見かける。まあ食料は幼虫で間に合っているし火を起こすのもめんどうくさいので孤独感を紛らわす程度の効果しかないんだがな、、そんなことを考えながら歩いていると10m程の高さの崖と滝を見つけた、、今日だけでも滝に出会うのは三回目だ。ため息を吐きながら森から迂回しようとしたその時だった。森の茂みから何かが出てきた。

「るぅえ!?わ、わ、」

俺が驚いて固まっていると相手はこちらを一瞥した後、川の水を飲み始めた。

・・・そいつは角から足まで、全身が黒一色の鹿だった、身長は俺よりも頭ひとつ分高い、大体2mくらいはあるだろうか?、、まあ草食動物なら危険は少ないと考え、刺激しないように少しずつ後退りをして離れる事にする。


「・・・こんくらい離れれば大丈夫、、だろ。大丈夫じゃなきゃ流石に泣くぞ、、、あんなのがいるんなら、熊とかもいるかもな」流石にあれを見て他の大型動物が生息していないとは思えなかった。ほんとに何処だここ?あんなデカい鹿、産まれて初めて見たぞ、、、、、ま、まぁ帰ったら自慢話に出来るだけマシとしよう。とにかく気持ちを切り替えないと不安と恐怖で押し潰されそうだ、、、、、、


--あれから十分ほど上りやすそうな木の上に避難して気持ちを落ち着けていた。冷静になってみると護身用の武器かなんかが欲しい。法律云々はよく分からんが後でなんとでも言い訳がつくだろ、たぶん、きっと。

というわけで早速投げやすそうな石をを探す事にした、、、、数分程でポケットに入るサイズで投げやすような石を三個見つけたので右ポケットに入れる。そして今まで右ポケットに入っていた幼虫達を左ポケットに移した。これで何かあった時に全身全霊で石を投げて相手が驚いた隙に全力で逃げることができるだろう。そう考えながらいつも寝るのにつかう枝の位置より二回り高い位置の枝を持つ木を探してそこで寝た。


明日は動物に出会いませんように。

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