キミは量産デスゲーム?〜ゲームのルールは"喰らう為"に在る!!〜
玄花
一般市民のプロローグ(一体僕が何のプロだって言うんだよ。)
さて、デスゲーム。
皆さんはこれをご存知だろうか。
一般的な普遍的な極普通の日々から
音沙汰もなく引き取られ。場合によっては
息も一緒に引き取られ。人の本性を曝け出す
非常に恐ろしくも美しい、一度きりの
バトルステージ。日常から離れられる
一風変わった定番のアトラクション。
経験者Aさんの話によると、
「ゲームマスターも楽じゃねえよ、
命懸けとはいってもゲームなんだからなぁ?
楽しませるのが本望だ。」
との事で。これはこれはこれからどんなゲーム
が繰り広げられるか楽しみですね……
─────────────────────
やあみんな僕だ。
黒い丸メガネに黒の短髪。前髪は少し長め。目に掛かるくらい。身長は172㎝くらい。
服装は白シャツに紺色のジーンズ、片手に青い
ノートPC。21歳、大学生。交際歴−21年
どちらかというとコミュ障。
交際歴がマイナスの所以は毎年恒例の様に、
カップルの破局の場面に少なからず
関与してしまっているからである。
そのお陰での人間不信も然る通り。
幾多の修羅場を掻い潜ってきたこの人生。
そう言えれば聞こえだけはいいんだけど。
さて、その嬉しくもない経験からして考えるに
僕は今、例の修羅場と呼ばれるものに
巻き込まれているみたいだ。
こういう時は自分を見る事もなく通りすがる
他人の様な客観視で自分を見つめてやり過ごす。いちいち疲れるのは本当に御免だから。
自分の世界に邪魔者は要らないのに。
見るからに分かるダメなタイプの陽キャ、
「お前さぁ、何回言ったら分かるんだよ!」
「はぁ?それはアンタが悪いんでしょ?
ワタシそんなの知らないんだけどぉ?」
「知らないってなんだよ!大体言えば
お前がしょうもない事に金使うから
こうなったんだろ!違うかよ?」
聞かれても怖いからと心の中で
ため息を含めて完結させる。
現在、僕の居場所としては、とある大学内に
設備のコンビニのレジの前である。
大学生カップルの時点で金銭トラブルとは
将来が思いやられるよね。しかも先輩が。
ペットボトルの緑茶に饅頭とサラダを
抱える僕が、この場を直ぐに去るにはお昼時の
食品売り場に再び戻って商品を元の場所に戻す
しか無い。あぁ…早くどうにか収束して
くれないかな、
なんで人って喧嘩をするのだろうか、はは…
と思考の旅に出ようとした瞬間に、
保護者でもない赤の他人に呼び止められた。
普通に怖い声で。
「おい、」
不意に後ろを向いたは良いけども
早くも後悔してます。…思わず心中でも敬語。
「…おい、遅い、邪魔、かいけー早くして?
腹減ってるの俺。」
ええ…終わったぁ、、
面倒なのにはさまれちゃったな、、
これが日常の人生。いつかお祓い行こう。
そう言ってはや21歳。
うわ、すっごい睨まれてる、こりゃ参った。
長めの金髪のガイルヘア、黒いスニーカーに
黒いズボン。濃い赤のシャツを中に着て、
上着は着てる人と同じくらい目つきの悪い
龍と虎の刺繍の入ったスカジャン。
左耳の黒っぽい銀のカーフリングが
鈍く光る。
服を含めた
三点から睨み込まれて僕は黙り込む。
黙秘を行使する。
「………」
その人は機嫌の悪そうに再度話し掛けてくる。
「おい、無視すんなよにいちゃんよぉ?」
「………」
今時、居るんだ、にいちゃん呼びのヒト。
「………」
「はぁ……」
お?諦めたか?いやそうしてくれると
ありがたい、諦めていてくれよ。、、、
「よし、殴るか、」
気のせいだよな、暴力行使なんて最近
やりたくてもなかなか出来ない世の中だ。
「今、なんと…?しまっ…」
「あ?殴る」
聞いた頃にはもう遅い。
その拳はロケットの如くに飛び始めていた。
そして……
[バシッ!!!]×2
あぁ…クリーンヒット、言い逃れの出来ない
綺麗な命中。万全の体勢、左手から放たれた
一撃。それは───
「へグゥッ!!」
[メキィッ!]
「よし、これでいい。さっ、
ほら会計済ませて俺も待ってるから、」
と、僕の前の五月も過ぎたというのに
五月蝿い蝿のみたいなカップルを
言葉通りに破壊粉砕デストロイ。
今は六月だ。梅雨に入ってきて鬱々と
し始めてるのに。その全てを吹き飛ばす
威力での暴力行使。ついでに僕の
思考回路も破壊された。思考停止状態だ。
「おい?前空いたぞ、」
「は、はいっ!」
我ながら情けない声を出してレジに向かう。
喧嘩両成敗、男女平等の如くに倒れた
カップルを横目に通り過ぎて。
うちの大学そんなに治安悪かったかな…
次が心理学だから眠くなったら危ないし
困ったらこの事でも思い出そう。
なんか、あの講義室。なんかヤバめの体験型の
ゲームにでも出てきそうな見た目の割に
教授のお陰で直ぐに眠りに
堕とされるんだよな……
驚いたまま表情の固まった店員さん。
「あっ!お、お会計、620円になります」
「はい」
[ジャラ。]
その、男性の店員さんが急にこちらに顔を
近づけてくる……距離近すぎません?
「ありがとうございました〜、って⁉︎
(なに平然としてるんですか、⁉︎)」
「(こういう事に巻き込まれる事
が多いので…)」
僕はいつも通りの言葉をを返す。
そして、後ろを振り返らないように
その場を早急に立ち去る。
「(うわぁ、大変ですね……それでは……)
つっ次のお客様どうぞ〜……」
「あれ?もう居ない…」
彼の出たレジでその店員さんは
震えた声で次の客を呼ぶ。
そうして僕のお昼時の厄介ごとは幕を閉じた。
その他諸々厄介ごとを滝壺の様に
受け止める事なく沈んでいく僕。
今はもう日も同じくらいに沈んでいる。
それでも僕は輝く事はない。
かくして今は帰宅中、というわけで。
バイトも無く、課題も無い。そのうえ
家に帰ってもやる事は趣味のゲームくらい。
逆に他の皆んなは何をしているというのやら。
本当に無駄に忙しそうに動くなあ。
動くな!とでも言ったら回遊魚の如く
街中で孤独死でもするのか?
「はぁ〜」
駅前の暗いコンビニの前、
僕は一人ため息をつく。
夜食としての本日二度目のコンビニ飯を
買いに店内に入る。レジを見て、あの男の事が
頭の中で勝手に反芻される。
もう夜なのにも関わらず昼間との外と内の
電気の差分に変化は無い。つまり、明かりが
意味をなしていないという事だ。
久々にこんなに暗いコンビニに入ったな……
左に曲がり、漫画雑誌にATMを
横目で通り過ぎる。表紙のアイドルだかは
全部同じように見えるし、将来は勿論
ATMになんてなりたくもない。
世の中変な物も多くなってきたよな、
と一人戯れ事を思う。
僕はいつもの商品を手に取る。
緑茶と饅頭とサラダを手に持ってレジへと
向かう。心構えはしたものの無論荒れた
カップルは居ない。ここまで来てやっと
安堵する。代わりに立っているのは高校生くらいの少女と、小学生、中学生、高校生
どれにも当てはまりそうな年齢不詳の
背の低い少年。まあ、夜とはいえど
まだ19時だ。そこまで遅いわけでもない。
当然といえば当然だろう。
念の為後方の確認もする。
居たら居たで会釈くらいは……ははは
笑うしかないじゃない。
そして、笑い事じゃないじゃない。
「ん?よぉ、にいちゃん、」
[ドサッ]
そして、コンビニで一人誰かが貧血で倒れた。
相当の疲れが溜まっていたのだろう。
今日も色々遭った様で大変だったのだろう。
コンビニでは厄介ごとに遭うわ、再び別の
コンビニに入ればそれを綺麗に思い出す
原因の張本人が居るわで……
厄介ごとにことごとく、打ち消してくれる
プロは何処かに居るのだろうか。
僕はそのお方を是非是非雇わせてもらいたい。
僕は巻き込まれる方のプロだから。
その後の事は覚えていない。
思い出したくもない。だって疲れるんだもの。
街の片隅のアパートの一室その片隅に座る僕は
今、何を考えているのだろう。畳の上で座禅を
組んでみても一向に心も思考も沈まない。
これ以上下がる場所がないかの様に。
一人のその金髪の他人を家の中まで運んで……
[ピーンポーン]
「こんな時間にどうしたんだ?」
なんか出たくもないが、ゲームソフトだったら
再配達にされるのは困るな。と、開けては
いけない扉に手をかける。
[ガチャ]
黒服に黒い覆面マスク、フードから手袋まで
夜に統一されたかのような服装。
その不審者はとぼけたような口調でこう言う。
「アメリカではおはようございます。
それでは、」
その一言を境に僕たち二人は同じマンションの
一室で意識の切れたまま、人生初の体験へと
向かう。
白い部屋。天井、壁、床。
何処かの部屋の映るスクリーンが一つ。
地面には13名程の人たちが倒れ込んでいる。
服装も、おそらく職業もバラバラだ。
年齢は少し20代に偏っているのだろうか。
一人、ひとりと目を覚ましていく。
その中スクリーンには一人の不審者が映る。
何を隠そう黒い何者かが。とある定型句を
言い放つ。静寂と困惑に満ちたその部屋に。
「それでは、これから
デスゲームを始めます。」
To Be Continued
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます