面白い夢 備忘録

@Ailice_to_K

第1夜 2024年 12月末 寒い夜の夢 1話目



………


朝起きる。

布団と机しかない6畳ほどの部屋に、自分ともう一人の女性がそれぞれの布団に入っている。

部屋の壁にかかっている制服から、今自分の仕事を何となく推察する。

濃い緑色の工事現場の様なジャケットとズボン、ヘルメットの様な帽子。そして何より現実ではあり得ないような、引き締まった自身の身体。

軍隊の一員になったような、ただ何となくその場の雰囲気などで察した。

急な尿意に襲われる。部屋にトイレは無い。部屋の外だろうか。部屋にドアがある。そこを開ける。

ここは2階か?よくある一軒家の2階のような造りをしたそのフロアは、今自分が出てきたドアとは別にあと2つドアがあり、下に降りられるようになっている階段が1つあった。

好奇心なのか、まだ寝起きで混乱しているのか、何も考えずに片方のドアに手をかける。


ガチャリ、という音と共にドアを手前に引く。

暗い部屋の中にぼんやりとブルーライト。何十年前に見た、祖父が使っていたような分厚いパソコンのライトに照らされて男性の顔が浮かび上がる。それ以外は何も見えないが、ドアの開いた音で整った顔がこちらを振り向く。目が合う。


「こら、ノックもなしに上官の部屋に入る奴がいるか?」


呆れ顔をして振り向いた、その顔には見覚えがある。現実の職場の上司だ。

特に大きく関わりのある人間ではないが、ただ、顔が少しだけ好みだった。そんな上司だ。


「あ…すみません。トイレと間違えました」


よくわからない言い訳とともに目を逸らす。

整った顔が崩れて、無邪気な笑顔を見せる。


「何だそれ、変なの。トイレは1階」


それだけ言ってまたパソコンへ視線を戻す。

これ以上話すこともない、私はドアを閉めた。

2階に3部屋。これまた何となく、もう一部屋は私の同僚の子の部屋だったと思い出す。

それにしても、女3人と、男性である上官の部屋が同じフロアというのも違和感があるが。そこはご愛嬌か。


1階へ降りると目を見張った。トイレに行きたかったことすら忘れるほどに。

何だここは…食堂か?とにかく2階とは比べ物にならないほど広い。どういう建物の造りなんだ。

さっき見た、壁にかかっていた制服や、まだ部屋着のような格好をした沢山の人々が食事を取るためにガヤガヤと賑わっている。


「やっとお目覚めか!明日香!今日も1日訓練だぞ」


眼鏡の男性に声をかけられる。こいつに見覚えはない。というかさっきの上司以外に見覚えのある人間はいない。とりあえず調子を合わせる事にする。


「おはよう!早く食事して着替えるわ!」


これは夢。あくまで不自然の無いように動くことだ。部屋へ戻り、着替えて1階へ降りる。

バイキング形式の朝食を好きなだけプレートに取り、空いた席に適当に座り、食事を取る。

美味しい。朝からバイキングは最高だな。

そんなこんなで朝食を食べ終わりかけていると、上司が階段から降りてきて私の真ん前に着席する。


「もう目は覚めた?頼りにしている僕の右腕がいつまでも寝ぼけててもらっちゃ困る」


よくわからないが頼りにしているという言葉に胸が踊る。そうか、私頼りにされてるのか。


「はい上官。先程は失礼致しました。今日も元気です、頑張ります」


最高の笑顔でそう言い、立ち上がってプレートを持ち会釈する。今日も1日が始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る