其の3・4

 男が腰の鞘からゆっくりと刀身を抜き放つ……ちょ、ちょっと……長くない?


 


 一見で日本刀の長さなど判る程の観察眼は持ってはいない。でもあれは、どう見ても鞘よりも長いでしょ……


 刀は鞘から一度別離れた……でも其れを惜しむが如く「刀身が明らかに伸びている」。


 其れは刀を持つ男の決して低くない上背を抜き去り、4~5メートルか? 伸びた所でやっと止まった。


「ほう、ワイの「小竹丸」が成長する迄待っててくれるとはな、優しいこった。御礼にばらばらにしたるさかい、楽しみにしときや!」


 其の刀……ともはやいえるか判らない武器を片手で持ち、上段に構える男。


「……もう少し離れましょうか、我々に当てはしないでしょうが、敵だった「破片」が飛んでくるかもしれない」


 私を抱きかかえた狐目の男はそういって、日本刀の男から後退った。




……




「全く、呆れかえるぜ……」


 拓ノ進はそうため息をつくと右手に持つ銃を、トリガーガードに入れた人差し指でくるりと一回転させる。無論シリンダーに弾丸が装填されたままだ。


 相棒の「物干し竿」使いにその癖を嗜められているが、今迄暴発をした事はない。




「結局俺様に後始末を頼む羽目になるのなら最初から任せとけってんだ。現場迄の足代、待機している時間の飲食代、その他諸々、倍の値段で請求してやるからなっ!」


 そう悪態をつくとスマホを取り、別場所で待機している相棒にコールする。


 ヤバイことになっちまった トニーの奴がしくじった


 登録していた定型文を送り、其の侭アンダルシアに憧れてを鼻歌で歌い出す。先程の悪態と其の文面とは裏腹に、拓ノ進の口元はにやりと歪んでいた。

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