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第1話
最後にメッセージでやり取りしたのは一ヶ月前。
最後に電話をしたのは二ヶ月前。
好きになったのは六年前で、やっと付き合えたのは五年前。長い時間一緒に過ごしてきた相手に会うのが当たり前で、多少連絡を疎かにしたところで何の障害もないと思っていた。
「はぁ………」
コートを着たまま玄関先で座り込んだ。
真っ黒な部屋には何も無かった。暖かなぬくもりも、美味しそうな匂いも、私を迎えてくれる「おかえり」の声も。
私が今まで描いた夢の中には大好きな人と結婚して、主婦になって子供を産んで、笑顔の絶えない家庭を作るなんてこともあったのに。
私は何をしてるんだろう。
もう三十歳にもなるっていうのになぁ。
なんか、泣けてくる。
なんとなくだけど、今付き合っている彼と自然消滅して関係が消えてしまいそうだ。
だけどよく考えてみれば私の中に彼と出会った頃のような感情があるのか、答えが出てこなかった。それが虚しくて、私は自分にガッカリした。
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