第4話
先生が駆け足で廊下を走る後ろで私も同じように足を動かす。
肩につかないぐらいの長さの黒髪が首に当たる。
時折すれ違う先生達から注意を受けることもないし、生徒達からは安堵するような雰囲気を感じる。
本当、なんでこうなってしまったんだろう…。
何度も何度も悔やんだ。あの時、違う選択肢を取っていれば…、と。
だけど同じように何度考えたところで結局は同じ選択をしている気がした。それもまた私が気を落とす理由だった。
学校から出て黒瀬がいるという中庭に向かう。
もう玄関を出た辺りから悲痛な声や物音が聞こえてきていた。
「や、やめろ…!」
「あ?」
「やめてくれ…!」
「てめぇの始末ぐらいてめぇでしろ」
怯えた様子で黒瀬を見上げながら地面に横たわっているのが二人。
唯一、地面に足を付いていた一人はガクガクと足を震わせながら鈍い動きで必死に黒瀬から逃げようとしていた。
黒瀬丞二の映える赤い髪が揺れる。
その後、男はカクン、と意識を失った。
完全に鳩尾に入ったな、あれは…。
黒瀬は別の一人を仕留めるためにジリジリと近づく。
もう戦う余力のない男達の顔は更に恐怖で染まっていた。
櫻井、と隣に立っていた担任が焦ったように私の名前を呼ぶ。
こんな場面を“普通”の女の子が見たら恐怖で怯えるか、目を反らすか、悲鳴を上げるんだろう。
だけど、私は残念ながら普通ではない。だからこそ、ここにいる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます