第6話
ずっと狙っていた女の視線がどこに向かっているのかなんて簡単に分かった。
だから利用出来そうな幼馴染の背中を無理矢理押して、郁の好きな男と付き合わせた。
あのドジ女は俺の腹の底なんて知らずにあの男の隣で顔を緩ませて、今頃笑っているんだろうな。馬鹿だから。
まあ、ただ、この計画で唯一予定外だったのは郁の方から俺に話し掛けて来たことだ。
あの男をドシ女に取られて、そんなに必死になるなんてムカつくなあ。
それ以外は俺の思うがまま、なのに。
「それじゃあ、俺達もデートに行こうか」
「は!?ちょっと待ちなさい!!」
動物園に背を向けて、俺は郁の手を強引に取って歩き出した。
ねえ、郁。
その無防備な格好で行くのに相応しいのは動物園じゃないよね。適度にその辺をぶらついて、最終的には俺の家に行こうかな。
両親は今日帰って来ないし、丁度良い。
どれだけ俺に愛されているのかをしっかりと刻み込んであげないと、ね?
それにお仕置きもして、短いスカートを履くのは駄目だって躾けないといけない。
俺のモノって、たっぷりじっくり分からせてあげよう。楽しみだね、郁。
「待ちなさいって言ってるんだけど!!」
恋人繋ぎした手を引きながら、チラリと後ろを振り向くと可愛い顔を歪ませて、相当怒っていた。俺のこと、煽ってるのかな。
その顔が甘く、蕩けた顔に変わって俺を求める瞬間を想像するだけで、堪らなくなる。
あーあ、早くその強気な態度をぶっ壊してやりたいなあ。
「な、なによ!」
「別に?」
「だったら離しなさいよ!!」
「大丈夫、そのうち郁の方から離さないでって言うようになるから」
「はぁ!?」
クスクスと笑うと郁の顔がまた、歪む。
うんうん、良いね、その顔。
俺の身体が悦びで震え上がってるよ。
やっぱり、家のベッドに直行しようかな。
一刻も早く郁の口から「もっと虐めて」って言わせたい。
─完結─
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