第7話

瞳が口を開こうとした所で、店員さんがココアとブラックコーヒーを持って来てくれた。にっこりと笑う彼女に私も同じように返す。



その後、今日の服装を褒めてもらったり、可愛いとお世辞をもらったり、とても照れくさかった。いつも何故かベタ褒めしてくれるんだよなぁ…。




瞳は彼女が居なくなってからすぐに口を開いた。



「彼、迎えに来てくれるって言ってたじゃん」


「言ってたね」


「今までの愛結の“彼”の中でも結構優しそうだし」


「優しいよ」



瞳は、多分まーくんにちゃんとしたポジションをあげればいいのにって言いたいんだと思う。



でもね。



「まーくん、だよ?」


「…そっか。まーくん、ね」



入れ替わりの激しい“彼”のポジションに立つ男達の名前を私は絶対に呼ばない。


まーくんのようにあだ名を使うか、苗字に「くん付け」や「さん付け」を必ずする。



名前をそのまま呼んでいるのは瞳だけ。

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