第11話
買い物袋をぶら下げてコンビニから仲良く出てきたのは香田課長と宮本さんだった。
二人は談笑しながら、駅の方に向かって歩いていく。
香田課長の見たことのない柔らかい笑顔に心臓がひんやりする。そして宮本さんが辺りを確認してから香田課長の腕に手を伸ばし、街灯に照らされた二つの陰がひとつになって寄りそって歩いていく。
(──っ)
私の両目からは勝手に涙が転がっていた。胸が痛い。苦しい。やりきれない。どうにかなりそうなほどに呼吸が苦しくなる。
「課長……あんな顔するんだ……」
(もっと宮本さんが嫌な子だったらよかったのに)
陰口を叩かれるような性格で見た目も可愛くなかったら良かったのに。そしたらいつか課長も愛想を尽かして二人は別れて、いつか自分にもチャンスが回ってきたかもしれないのに。
なんでなんで私じゃないの?
なんでなんで私じゃダメなんだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます