第6話
幼稚園の時に好きだった一つ年上の「しゅうちゃん」。
幼かったからだろう。
もう顔も名前も思い出せないが、私が泣いているといつも『おまじない』をして励ましてくれた。
『悲しいの悲しいの飛んでいけ……っ』
私が悲しいことがあって涙を溢すたびにそう言って小さな手で何度も頭を撫でてくれたのを思い出す。
私の大事な初恋だ。もう、会うことなんてきっとない。それに会ったところで互いに分かるわけもないだろう。
けれど私は、小さいことから今も悲しいことがあるとこの『おまじない』に随分と助けられてきた。
本当に悲しい気持ちが飛んでいくみたいで、言葉にするだけで救われたから。
「ふふ、しゅうちゃんも大人になってるんだろうな」
そう言いながら、私は最後の一口の白ご飯を食べ終わると同時に、テーブルに置いていたスマホが震える。
スマホをのぞき込めば恋人の
──『恋お疲れさま、明日なんだけどレストラン予約してみた』
そしてすぐに私のLINEにレストランのQRコードが送られてくる。
「わぁ……すっごくオシャレなとこ……これ、前に私が博樹が担当したグルメ雑誌で行きたいっていってたとこ……」
私はすぐに博樹に『ありがとう、楽しみにしてるね』と送った。
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