第3章 第4話 思わぬ乱入者

カルと白神の激闘の中、二人の目の前から逃げ去るPale Raven(ペーイオ・レーイヴン)の王。


その姿がどんどん遠ざかっていくのを見つつ、カルは心の中で焦りを覚えていた。


カルは魔導士なのに飛べない。

と言うか魔法で飛んでる魔導士など今まで見たことがない。

どうしたものか、、、


しかし、その一瞬の隙を突いて白神が再び攻撃を仕掛けてきた。


「どうや、もう俺に勝つのは諦めたんか?」


白神は冷笑を浮かべながら、カルに迫る。


攻撃は容赦なく、冷たい炎をまとった剣でカルを圧倒していた。


しかし、カルはただ防御するばかりではない。


彼は冷静に隙を見つけ、再び「Blaze Gale Fist」を発動する。


「この前の攻撃、今度は決めさせてもらう!」

カルの拳が白神に向かって飛び出す。


風と火の魔力が渦を巻き、激しい爆風が白神を捉えた。


白神は予想外の攻撃に驚き、避けることができずにクリーンヒット。


よろめいた瞬間、顔を赤くして激しく怒鳴った。


「――やりよったな!なにしてくれとんどいや……!」


白神の怒りが爆発し、周囲の魔力が激しく振動する。


だが、そんな彼の背後から、思いもよらぬ声が響いた。渋くも幼くも聴こえる声……懐かしい声……



「カル、大丈夫?」

声の主は、まさにカルが予期していた人物…ではなかった。


師匠のイェシカを思い浮かべたカルは少しガッカリした。


カルを助けに現れたのはあの闇の魔導士スイレンであった。


闇の魔導士であるスイレンは、微笑みながらカルに声をかける。


その姿は以前遭遇した時と同じく、落ち着いていて、どこか優雅で可愛らしい少年(と言うか見た目は女)だった。


「また会えてうれしいよ。それから白神(しらがみ)、お前は相変わらずカスだね。」

スイレンの言葉に、白神は顔をしかめ、さらに怒りを募らせる。


「なんじゃいてめえ!何でワシの名前を知っとんどいや!」


しかし、そこにもう一人、黒羽りりぃという魔法少女が登場した。


ピンクのインナーカラーが入ったツインテールの美少女だ


「光の魔導士はカスやけど、あんたも充分カスやで、スイレン。」


黒羽りりぃはスイレンに対して嫌味を言いながらも、白神に対しても明らかに敵意を見せていた。


その言葉に、スイレンは不快そうに眉をひそめるが、どうやら彼らはお互いにあまり良い関係ではないらしい。


「お前ら、ナニモンじゃいや!なんで俺様の名前を知っとんどいや!?」

白神は、ふたりの突然の登場に警戒し、鋭く問いかける。


だが、カルはその隙を逃さず、冷静に状況を分析して口を開く。


「今は争っている場合じゃありません。白神さん、この人たちは闇の魔導士会の魔導士たちです。恐らく僕たちの敵――いや、もう敵として対峙しなければならない。」

カルの言葉に、白神は驚きつつも、一瞬だけ立ち止まる。



だがその間に、スイレンとりりぃは間髪入れずに攻撃の準備を進めていた。


「闇の魔導士会。ホンマに実在しとんやな」


白神はその言葉に納得しつつも、すぐに気を取り直す。そしてカルに向かって一言。


「お前はまだ大人しくしとれ。こいつらは俺が片付けたるわいや。」

白神は今度はスイレンとりりぃに向き直り、怒りのオーラを全身から放つ。


しかし、その直後、スイレンは不敵な笑みを浮かべて言った。


「ふふ、キミみたいなカスに用はないけどね、白神。」

りりぃも同じように冷ややかな目を白神に向けて、わざと挑発的な言葉を放つ。


「光の魔導士、やっぱりいいところなし、やな。」


その言葉に、白神は怒りをあらわにするが、カルはその様子を見守りつつ、心の中で冷静さを保った。


これからの戦いがどうなるかは、わからない。


しかし、これ以上手をこまねいているわけにはいかない。


闇の魔導士たちの存在が、予想以上に厄介であることは雰囲気からして明白だった。


「――行くぞ。」

カルはしっかりと立ち上がり、スイレンとりりぃが繰り広げる激しい戦いの中で、自分の立ち位置を見定めることを決意した。そして、闇の魔導士たちとの対決が始まるのだった。

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