4,コッチ見んな!柏木優貴乃 ~蓮華、処刑まで1年と1か月だよ?~


しゃがみこんだまま、京子は目をぱちくりさせている。


すると柏木優貴乃が微笑みながら手を振っている。

赤茶色に染めた髪の毛は、胸元でクルンと軽く跳ねている。

そして彼女の手の平の動きに沿って、ぴょんぴょんと小さく踊る。

まるで京子のソレを真似たように。


ビヨン、ビヨン。

ビヨン、ビヨン。


いや、違う。

正しくは、京子が真似たんだ、アイツの髪型を。

4美人の一人。

通り名は西洋ドール。

青葉のギャル系の子達の憧れと羨望の頂点に君臨するのがピザむすめ、いや西洋ドールこと柏木優貴乃だから。


「……」

私は目の前に立つ岬を改めて見上げた。

フワリ……。

濃いブルーの香。


「……」

一方、あっちにいる柏木優貴乃からは、赤薔薇の香が漂ってくる。

色は香る。


モノトーン系を基調とした、どちらかといえばクールな印象を与える岬とは対極だなぁ。

あの女(柏木優貴乃)にはパステルをベースに、華やかな彩を着こなせるだけの雰囲気と溢れんばかりの美貌がある。


体型は少女マンガを地でいくような長身長足。

完成されたお化粧テクニック、長い睫毛に整った眉。鼻頭は細く高い。

そして、ややツンとした印象を与える黒くて大きな瞳。

ま、さすがだね。


すると次の瞬間、彼女の瞳がスゥと細まる。

ん?

私のこと見てる?


私は憎たらしいほどに秀麗な顔で見つめられてドキドキしてしまう。

コッチ見んなよ……。

モシャモシャ、モシャモシャ……ゴックン。


「ふぃ、ようやく食べ終えました」

両手を合わせてぺこりとお辞儀する。

私はようやくお弁当を食べ終えると、ペコちゃんのほっぺからいつもの顔に戻る。

それから結衣の耳元に顔を寄せると、そっと囁いた。


「ねぇ結衣、柏木さんてさぁ、よくこっちを見るよね? 何でだろ?」

結衣は私の問いかけに答えずに、岬に同調した。


「ホント読者モデルには柏木さんが適任ね。こんな海苔の匂いのする娘が出たら」

「ん? 海苔?」

また出た。

私はそう思った。

でも結衣は私の言葉を気にせず、独り言を漏らす。


「ホントに大変なことになる……」



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「蓮華のステータス」

1,命の残り時間    :キッカリ1年と1か月間

2,主人公へ向けた想い :トラウマ・レベル

3,優先順位      :京くん >> お弁当 > 処刑

4,希望        :★☆☆☆☆

5,美貌        :★★★★★


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