転生者として異世界に降り立った私が手にしたのは、不思議な力を持つ古の魔法書!生き残るために未知なる力を手に入れ、この書を駆使して世界の危機を救う旅に出る!!

森康雄

第一章 転生と目覚め

 風が草原を通り抜けていく音が、静かな朝をやさしく包んでいた。目を覚ますと、アリスは見知らぬ広々とした草原に横たわっていた。彼女は頭を振りながら、どうしてここにいるのかを考えようとしたが、思い出せなかった。


「あれ?ここはどこ?」アリスがつぶやくと、彼女の声は風に乗って遠くへと飛んでいった。


 突然、彼女の足元に何かがキラリと光った。それは一冊の古びた魔法書だった。表紙は革でできており、金の細工が施されていて、不思議な魅力があった。


 アリスが手を伸ばして魔法書を持ち上げると、その瞬間、本からぱっと光があふれ出た。「わっ!」と驚くアリスの前に、小さな精霊が現れた。


 精霊は可愛らしい声で言った。「おはよう、アリス。私はルナ、この魔法書の守護精霊よ。あなたがこの世界に転生したのは、大きな使命があるからなの。」


「使命?」アリスは疑問に思いながらも、精霊の言葉に心を傾けた。


「ええ、あなたにはこの世界を救う力があるの。だから、この魔法書と共にその力を学びなさい。」


 アリスはその言葉を聞いて、不安と期待が混ざった表情を浮かべた。でも、彼女は決意を固め、立ち上がった。「わかった、どんな困難も乗り越えてみせる!」


 この出会いが、アリスの大冒険の始まりとなった。彼女は魔法書をしっかりと抱え、草原を歩き始めた。未知なる力と使命を背負いながら、新しい世界での生活が幕を開けたのだった。


 アリスはそっと魔法書を開いた。すると、頁からふわりと光が漏れ出し、彼女の周りを包み込む。光が強まるにつれ、アリスの目も大きくなっていく。


「すごい!これ全部魔法が書いてあるの?」


「ええ、でもすぐには使えないわ。まずはその力を理解し、コントロールすることから始めないと。」


 アリスは魔法書を胸に抱きしめ、新しい力との出会いに心躍らせながらも、その重大さに少し怯えていた。でも、彼女は決心していた。この力を使いこなし、何があってもこの世界を守るんだと。


 ルナはアリスのそんな様子を見て、微笑みを浮かべた。「大丈夫、私がついている。一緒に学んでいこうね。」


 そして二人は、次の目的地へと足を進めながら、アリスが魔法を使えるようになるための最初の訓練を始めた。周囲には何もない広い草原、そこが彼女たちの最初の教室となったのだった。


 アリスとルナは草原を歩きながら、魔法の基礎について学び始めた。ルナが魔法書のページをめくるたびに、様々な魔法の式が光り輝き、二人の周りに魔法のエネルギーが満ちていった。


「これからは、この魔法書とどう向き合うかが大切よ。」ルナがアリスに説明しながら、魔法書の一ページを指さした。「まずはこの簡単な呪文から始めましょう。」


 アリスは真剣な表情で魔法書を見つめ、ルナが教える通りに呪文を唱えた。「フィル・ルミナーレ!」と言うと、彼女の手のひらから小さな光が現れ、やがてそれは美しい光の球となって輝いた。


「わあ、できた!本当に魔法が使えたんだ!」アリスは興奮して叫び、その光の球をじっと見つめた。


「素晴らしいわ、アリス。これは最も基本的な光の魔法。これからもっと難しい魔法も学べるようになるわ。」ルナは優しく微笑み、アリスの肩を軽く叩いた。


「でも、失敗も恐れないで。魔法は練習が必要なの。失敗から学び、成長していくのよ。」


 アリスはルナの言葉を胸に刻み、「次はもっと難しい魔法にも挑戦してみる!」と意気込んだ。彼女の目は冒険への期待で輝いていた。


 そうして、二人は次の魔法に挑む準備を始めた。草原の静かな風が、彼女たちの新たな挑戦を優しく見守っているようだった。この初めての接触が、アリスの魔法使いとしての旅の第一歩となった。

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